FBA容量制限は、Amazonの倉庫に預けられる在庫の量の上限です。売れ行きが伸びてきた時期や、大型セールの前に多めに納品しようとしたときに、「上限を超えるため納品プランを作れない」という形で初めて意識する人が多いはずです。
上限があること自体は変えられません。ただ、上限の中身を読み、どの在庫が枠を使っているかを知れば、限られた枠で何を先に送るかは決められます。売れる商品の在庫が切れ、売れない商品が枠を埋めている状態がいちばんの損です。
この記事では、容量制限の画面の読み方、枠を圧迫している在庫の見つけ方、納品できる量が足りないときの優先順位の付け方を順に書きます。
FBA容量制限の画面で見る3つの数字
容量制限は、セラーセントラルの在庫まわりの画面(在庫パフォーマンスやFBA在庫の管理画面など)で確認できます。画面の名称や表示の位置、上限の計算方法は変更されることがあるので、作業の前にセラーセントラルの最新の案内を確認してください。
画面で見るのは次の3つです。
| 数字 | 意味 | 見るときの注意 |
|---|---|---|
| 保管上限 | その期間に預けられる在庫の量の上限 | 保管タイプ(標準サイズ・大型など)ごとに分かれていることがある |
| 使用量 | いま倉庫にある在庫が使っている量 | 販売できない在庫(破損・返品待ちなど)も枠を使うことがある |
| 入荷予定 | 作成済みの納品プランで、これから届く量 | まだ発送していないプランも枠を使う場合がある |
上限は個数ではなく、体積で数えられることが多い点に注意してください。小さな商品を100個送るのと、大きな商品を10個送るのとでは、使う枠がまったく違います。上限が足りないと感じたら、まず「どのサイズの商品が枠を使っているか」を見ます。
上限は一定ではない
保管上限は、過去の販売実績や在庫の回転の状態などをもとに、期間ごとに見直されます。売れ行きのよい在庫を持っていれば上限は増えやすく、売れずに残る在庫が多いと増えにくくなる、という考え方です。上限の決まり方の詳細は公開されている範囲が限られるので、断定はできません。ただ、在庫の回転をよくしておくことが、上限の面でも不利にならないのは確かです。
在庫の回転の指標は在庫パフォーマンス指標の見方で詳しく説明しています。
枠を圧迫している在庫の見つけ方
上限が足りないとき、最初にやるのは納品を減らすことではなく、いま枠を使っている在庫の中に、置いておく意味の薄い物がないかを探すことです。次の手順で洗い出します。
- 在庫の一覧を、SKUごとの「在庫数」と「直近30日の販売数」が並ぶ形で出す
- 在庫数÷(直近30日の販売数÷30)で、在庫が何日分あるかを出す
- 1個あたりの体積(縦×横×高さ)を掛けて、SKUごとに使っている体積を出す
- 「在庫日数が長い」かつ「使っている体積が大きい」SKUに印を付ける
印が付いたSKUが、枠を圧迫している候補です。たとえば在庫日数が180日を超え、体積も大きい商品は、それだけで枠のかなりの部分を使っていることがあります。
販売できない在庫も見落としやすい場所です。破損や返品で「販売不可」になった在庫が、そのまま倉庫に残って枠を使っていることがあります。返送するか所有権を放棄するかの判断はFBA在庫の返送と所有権放棄の判断にまとめています。
減らし方は3つ
枠を空けたいときの手段は、大きく次の3つです。
- 売り切る:価格を少し下げる、広告を当てるなどして、長く残っている在庫を動かす
- 返送する:自社倉庫や外部の倉庫に戻し、売れる時期に改めて納品する
- 所有権を放棄する:売れる見込みがなく、返送の費用のほうが高い在庫
どれを選ぶかは、1個あたりの利益と返送の費用、売れる見込みで決まります。長く置くほど保管料もかかるので、保管料の考え方は在庫保管料を抑える方法も合わせて見てください。保管料や返送の費用はサイズ・時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認します。
納品できる量が足りないときの優先順位
枠を空けても足りないときは、何から送るかを決めます。優先順位は次の順で考えます。
- 在庫切れが近い売れ筋:在庫日数が短く、切れると順位を落とす商品
- 体積あたりの利益が高い商品:同じ枠でより多く利益が残る商品
- セールや季節の山が近い商品:時期を逃すと売れ残る商品
- それ以外:在庫に余裕がある商品、自社発送でも回せる商品
1番目を最優先にするのは、在庫切れの損が大きいからです。売れ筋が切れると、その間の売上を失うだけでなく、検索の順位が下がって戻るまでに時間がかかることがあります(在庫切れと発注の基準)。
体積あたりの利益で比べる
2番目の「体積あたりの利益」は、限られた枠を何に使うかを決める物差しです。計算の形を示すため、仮の数字を置きます。
| 商品(仮) | 1個の粗利 | 1個の体積 | 体積あたりの粗利 |
|---|---|---|---|
| A(小型の雑貨) | 400円 | 20×10×10cm=0.002立方メートル | 1立方メートルあたり200,000円 |
| B(大きめの収納用品) | 900円 | 30×20×20cm=0.012立方メートル | 1立方メートルあたり75,000円 |
| C(小さな消耗品) | 250円 | 10×10×10cm=0.001立方メートル | 1立方メートルあたり250,000円 |
1個の粗利だけを見るとBが一番ですが、同じ枠に詰めたときに残る利益はCが一番、Bが一番小さくなります。枠が足りない時期は、1個の利益ではなく、体積あたりの利益の高い順に送るほうが、同じ枠から多くの利益を残せます。
ただし、1番目の「在庫切れが近い売れ筋」は、体積あたりの利益が低くても先に送ります。切れたときの損のほうが大きいためです。体積あたりの利益は、在庫に余裕がある商品どうしの順番を決めるときに使ってください。
1個あたりの粗利は、利益シミュレーターに売価・原価・手数料を入れると出せます。
自社発送と組み合わせる
枠に入りきらない分は、自社発送(出品者出荷)で回す方法もあります。大きくて回転の遅い商品をFBAから外し、自社発送に切り替えると、その分の枠を売れ筋に回せます。どの商品を外すかの判断はFBAと自社発送の使い分けを参考にしてください。
納品量を決める手順
優先順位が決まったら、SKUごとの納品量を決めます。枠が限られているときは、「何日分を送るか」を商品の順位ごとに変えます。
- 優先順位1の商品:次の納品が届くまでの日数+安全在庫の日数分を送る
- 優先順位2〜3の商品:残りの枠を、体積あたりの利益の高い順に割り当てる
- 優先順位4の商品:枠が余ったときだけ送る。余らなければ自社発送か次の期間に回す
安全在庫の日数の決め方は安全在庫の計算で説明しています。納品量の計算を毎回手でやるのが大変なら、発注量の計算ツールで、販売数と納品までの日数から発注量の目安を出せます。
納品の作業そのもの(ラベル・梱包・納品プランの作り方)はFBA納品手順の全体像にまとめています。
よくある質問
容量制限で納品プランが作れません。すぐにできることはありますか。 まず、作成したまま発送していない納品プランがないかを確認してください。使っていないプランが枠を押さえていることがあります。次に、販売できない在庫が残っていないかを見て、返送や所有権の放棄で枠を空けます。それでも足りなければ、優先順位の高い商品から納品量を絞って送ります。
保管上限を増やす方法はありますか。 上限の決まり方の詳細は公開されている範囲が限られるため、これをすれば増えるという決まった方法は示せません。一般には、売れ行きのよい在庫を持ち、売れずに残る在庫を減らして在庫の回転をよくしておくことが、上限の面でも不利にならない方向です。
大型セールの前に多めに送りたいのですが、枠が足りません。 セールの山に合わせて送りたい商品を優先順位の3番目に置き、在庫切れが近い売れ筋の次に送ります。セール前に長く残っている在庫を売り切るか返送して、枠を空けておくのが先です。納品が混みやすい時期は受付に時間がかかることもあるので、早めに計画を立ててください。
まとめ
- FBA容量制限の画面では、保管上限・使用量・入荷予定の3つを見る
- 上限は個数ではなく体積で数えられることが多い。大きな商品ほど枠を使う
- 枠が足りないときは、まず在庫日数が長く体積の大きいSKUと、販売できない在庫を探して減らす
- 何から送るかは、在庫切れが近い売れ筋→体積あたりの利益が高い商品→セール・季節の商品の順
- 入りきらない分は、大きくて回転の遅い商品から自社発送に回す
- 在庫の回転をよくしておくことが、上限の面でも不利にならない
まずは在庫の一覧を出し、在庫日数と体積を掛け合わせて、枠を圧迫しているSKUを3つ探してください。在庫と発注の管理をまとめて見直したい場合は、無料の運用診断で在庫・広告・商品ページのどこが弱いかを整理できます。
