Amazonで売っている商品に低評価が付き、読んでみると「届いたら壊れていた」「部品が足りない」。返品が続いて、調べると同じロットの不良だった。こうした事故の多くは、納品前の検品で止められたものです。
一方で、全数を細かく見ていては手間とコストが合いません。どこで、何を、何個見ればよいのか。Amazon 検品は「全部しっかり見る」ではなく、段階ごとに見る項目と数を決めた「型」で回すほうが、少ない手間で不良を減らせます。
この記事では、検品を3つの段階に分け、それぞれで何を見るか、抜き取りの数と合否の線をどう決めるか、外部の検品業者に頼むときに何を指示すればよいかをまとめます。FBA納品の手続きそのものはFBA納品の手順に分けて書いています。
Amazon 検品が売上に効く理由
Amazonでは、不良品が1つ届いたときの損が、商品1個分では済みません。
- 低評価が残る:星の平均が下がると、購入率が落ちます。1件の低評価を打ち消すには、多くの高評価が要ります
- 返品の費用がかかる:返品された商品は再販できないことが多く、送料や手数料もかかります
- アカウントの評価に響く:商品の品質に関する苦情が続くと、出品停止の対象になることがあります
仮に1,000個納品して不良率が2%だった場合、20個の不良がお客様に届きます。20件のうち半分が低評価を書くと10件。新商品でレビューが30件しかない段階なら、星の平均は大きく動きます。検品の費用は、この損と比べて決めるものです。返品が増えたときの対処は返品率を下げる方法に、低評価への向き合い方はレビューの増やし方と低評価への対応にまとめています。
検品は3つの段階に分ける
検品を1回で済ませようとすると、見る項目が多すぎて抜けが出ます。段階ごとに役割を分けます。
| 段階 | 目的 | 主に見ること | 不良が見つかったとき |
|---|---|---|---|
| 1. 工場出荷前 | ロット全体の不良を、作り直せるうちに止める | 機能・寸法・素材・印刷の色 | 工場に作り直し・交換を求める |
| 2. 国内着荷時 | 輸送中の破損と、数量の過不足を見る | 外箱の潰れ・数量・外観 | 破損分を分けて、輸送業者・工場に連絡 |
| 3. FBA納品前 | Amazonの納品要件と、お客様が開けたときの見え方を整える | ラベル・梱包・付属品・表示 | 直して納品、直せない分は外す |
いちばん効くのは1の工場出荷前です。 日本に届いてから不良が分かっても、作り直しには時間がかかり、その間に欠品します。海外工場から仕入れる場合は、出荷前に工場で抜き取り検品をしてもらうか、現地の検品業者を入れることを検討してください。仕入れ原価に検品費用をどう積むかは1688仕入れの原価計算で扱っています。
何を見るか:検品項目の表
商品によって見る項目は変わりますが、骨組みは共通です。次の表を自社の商品に合わせて書き換え、検品のたびに同じ表で記録します。
| 区分 | 検品項目の例 | 見方 |
|---|---|---|
| 外観 | 傷・汚れ・色むら・印刷のずれ | 明るい場所で、決めた距離から見る |
| 寸法・重さ | 商品ページに書いた寸法と合っているか | 定規・はかりで実測する |
| 機能 | 電源が入る・開閉できる・締まる | 実際に使う動作を1通り行う |
| 付属品 | 説明書・部品・電池の数 | 同梱物の一覧と照らし合わせる |
| 表示 | 日本語の表示・必要な表示やマーク | 法令で求められる表示が付いているか |
| 梱包 | 箱の潰れ・封の状態・袋の穴 | お客様が受け取ったときの状態を想定する |
| ラベル | 商品ラベルの位置・読み取れるか | 元のバーコードが隠れているか確認する |
「表示」の項目は、商品によっては法令で求められるものがあります。電気製品、食品に触れるもの、化粧品などは、販売前に必要な表示や届け出を確認してください。確認の進め方は出品前の規制の確認方法にまとめています。
見方の欄は具体的に書きます。「傷がないか」だけでは、人によって合否が変わります。「腕を伸ばした距離から見て分かる傷は不良」のように、誰が見ても同じ判断になる書き方にしておくと、外部に頼むときもそのまま使えます。
何個見るか:抜き取りの数と合否の線
全数検品なら見落としは減りますが、数が多いと現実的ではありません。多くの場合は、ロットから一部を抜き取って見る「抜き取り検品」にします。
決めることは3つです。
- 抜き取る数:ロットの数量に応じて決める
- 合否の線:抜き取った中に不良が何個までなら合格にするか
- 不合格のときの動き:全数検品に切り替えるか、ロットごと工場に戻すか
仮の目安として、次のように置く方法があります。実際の数は商品の価格や、不良が起きたときの影響の大きさで調整してください。
| ロットの数量(仮定) | 抜き取る数(仮定) | 不良が何個までなら合格(仮定) |
|---|---|---|
| 〜300個 | 30個 | 0個 |
| 301〜1,000個 | 50個 | 1個 |
| 1,001〜3,000個 | 80個 | 2個 |
抜き取る箱は、上の段・下の段・奥の箱から散らして選びます。手前の箱だけを開けると、同じ時間に作られた分しか見ていないことになります。
不合格になったときの動きを先に決めておくことが一番大事です。決めていないと、納品の締め切りに押されて「この程度なら」と通してしまいます。
外部の検品業者に頼むとき
自社で検品の人手が取れない場合は、外部の検品業者に頼む方法があります。国内でFBA納品の前に検品・ラベル貼り・梱包までまとめて行う業者や、海外の工場の近くで出荷前に検品する業者があります。
頼むときは、口頭ではなく指示書を渡します。指示書に書くのは次の項目です。
- 商品の正しい状態の写真(良品の見本)と、不良の例の写真
- 上の検品項目の表と、それぞれの見方
- 抜き取る数と合否の線、不合格のときの連絡先と対応
- ラベルの貼る位置と、梱包の方法
- 報告の形(不良の数・写真・どの箱から出たか)
費用は業者・作業の内容・数量で変わるので、見積もりを取って比べます。仮に1個あたり30円で1,000個なら3万円です。先ほどの例で、不良20個のうち半分が返品になり、1個あたりの損が仮に2,000円なら2万円。低評価の影響まで含めれば、検品費用のほうが小さく収まることが多くなります。商品ごとの粗利に検品費用を積んだときの利益は利益計算ツールで確かめられます。
よくある失敗
検品の記録を残していない。 不良が見つかっても、どのロットで、何の不良が、何個だったかが残っていないと、工場に改善を求める根拠になりません。毎回同じ表に記録し、次の発注の前に工場と共有します。
良品の見本を決めていない。 色の濃さや縫い目の細かさは、見本がないと判断がぶれます。初回のロットで良品を1個取り置き、それを基準にします。
検品で箱を開けたまま納品する。 開封した商品の封を元に戻さずに納品すると、お客様には中古品のように見えます。検品で開けた分は、袋や封を替えてから戻します。
同じ不良が繰り返されているのに、検品だけで止めている。 検品は不良を見つける作業で、不良を減らす作業ではありません。同じ不良が続くなら、原因を工場側で直してもらいます。
よくある質問
全数検品と抜き取り検品は、どちらにすべきですか。 単価が高い商品、壊れると危険な商品、初めて取引する工場の初回ロットは、全数検品を検討してください。取引が続いて不良が少ない工場の定番商品なら、抜き取り検品で足りることが多くなります。不良の記録が溜まれば、どちらにするかを数字で判断できます。
FBAの倉庫で検品してもらえますか。 FBAの倉庫で行われるのは納品の受け取りの確認で、商品の品質を見る検品ではありません。外観の破損などで販売不可になることはありますが、機能や付属品までは見てもらえないと考え、納品前に自社か外部で検品してください。
検品で見つかった不良品はどうすればよいですか。 まず写真を撮り、数と内容を記録します。そのうえで工場に連絡し、交換・返金・次回の発注での補填などを相談します。直せるもの(ラベルの貼り直し、付属品の補充)は直して納品し、直せないものは納品から外します。
まとめ
- Amazon 検品は「工場出荷前・国内着荷・FBA納品前」の3段階に分け、段階ごとに見る項目を変える
- いちばん効くのは工場出荷前の検品。日本に届いてからでは作り直しが間に合わない
- 検品項目は表にして、見方を「誰が見ても同じ判断になる書き方」にする
- 抜き取る数・合否の線・不合格のときの動きを先に決める
- 外部に頼むときは、良品と不良の写真・項目表・合否の線を指示書にして渡す
- 記録を残し、同じ不良は工場側で直してもらう
検品から納品・在庫管理まで、どこで不良が出ているのかを整理したい場合は無料の運用診断をご利用ください。納品や在庫の運用ごと任せたい場合はAmazon運用代行のページに支援の範囲を書いています。
