スポンサープロダクト広告で商品ページまでは人が来ている。けれど、そのまま買わずに離れていく人が多い。そんなときに候補に挙がるのが、スポンサーディスプレイ リターゲティングです。一度商品ページを見た人に、Amazonの中や外で、もう一度その商品を表示する配信のことを指します。
便利そうに見えますが、どの商品にも効くわけではありません。比較して時間をかけて選ぶ商品には効きやすく、その場で買うかどうかが決まる低単価の消耗品には効きにくい。使う場面を間違えると、もともと買うつもりだった人にまで広告費を払う形になります。
この記事では、リターゲティングを使うかどうかの判断、対象と期間の選び方、設定の手順、成果の見方を順に整理します。広告の種類そのものの違いはスポンサープロダクト・ブランド・ディスプレイの違いにまとめています。
スポンサーディスプレイ リターゲティングとは
スポンサーディスプレイは、商品やカテゴリーを狙う「商品ターゲティング」と、人の行動を狙う「オーディエンス」の2つの狙い方を持つ広告です。リターゲティングは後者の中の使い方で、過去に自社の商品ページを見た人や、買った人をもう一度狙うものです。
検索広告との違いは、入口が検索語ではないことです。スポンサープロダクト広告は「いま検索している人」に出ますが、リターゲティングは「前に見た人」に出ます。検索をやめて別のページを見ている人にも届くので、取りこぼしを拾う役割になります。
| 項目 | スポンサープロダクト広告 | スポンサーディスプレイ リターゲティング |
|---|---|---|
| 誰に出るか | いま検索している人 | 過去に商品ページを見た人・買った人 |
| 何をきっかけに出るか | 検索語・商品 | 閲覧や購入の履歴 |
| 主な役割 | 新しい人に見つけてもらう | 迷って離れた人を呼び戻す |
| 成果の出方 | 広告経由の購入がすぐ数字に出やすい | 閲覧から購入まで日数が空くことがある |
管理画面での呼び方は「閲覧リマーケティング」「購入リマーケティング」などになっています。名称や選べる項目は変わることがあるので、設定するときの画面で確認してください。また、スポンサーディスプレイを使える条件(ブランド登録の有無など)も、事前にセラーセントラルの案内で確かめておきます。
使う場面と使わない場面
リターゲティングが効くかどうかは、買うまでに迷う時間がある商品かどうかでほぼ決まります。一度見て離れた人が、数日後にもう一度検討する余地がある商品なら、思い出させる価値があります。
| 商品のタイプ | 効きやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| 単価が高く、比較して選ぶ商品(家電・寝具・アウトドア用品など) | 効きやすい | 一度で決めず、数日かけて比べる人が多い |
| 贈り物・季節の商品 | 時期によって効く | 購入日が近づくと検討が再開する |
| 消耗品で買い替え周期がある商品 | 購入リマーケティングなら効くことがある | 使い切る頃に思い出してもらえる |
| 低単価で衝動的に買う商品 | 効きにくい | 見た時点で買うか決まっている |
| レビューが少なく、星が低い商品 | 先に直すべき | 呼び戻しても同じ理由で離れる |
最後の行が大事です。ページを見て離れた理由が、価格やレビューや画像にあるなら、同じページに呼び戻しても同じ理由でまた離れます。リターゲティングを始める前に、商品ページそのものの購入率を確認してください。購入率の上げ方は購入率(ユニットセッション率)を上げる手順にまとめています。
目安として、ビジネスレポートでその商品のユニットセッション率が同じカテゴリーの自社の他の商品と比べて大きく低いなら、先にページを直します。逆に、購入率はそれなりにあるのにセッション数が伸び悩んでいるなら、呼び戻しで上積みを狙う余地があります。
対象と期間の決め方
リターゲティングで決めることは、大きく3つです。誰を対象にするか、どれくらい前までの行動を対象にするか、何の商品を見せるか。
誰を対象にするか
| 対象 | 狙い | 向く商品 |
|---|---|---|
| 自社商品を見たが買っていない人 | 迷っている人を呼び戻す | 比較して選ぶ商品 |
| 似た商品やカテゴリーを見た人 | 競合を見ている人に自社を見せる | 指名検索の少ない商品 |
| 自社商品を買った人 | 買い替え・関連商品の購入を促す | 消耗品、シリーズ展開している商品 |
最初は、自社商品を見たが買っていない人の1つに絞るのが分かりやすい進め方です。対象を混ぜると、どこで成果が出たのかが分からなくなります。
どれくらい前までを対象にするか
対象の期間(ルックバック期間)は、7日・14日・30日・60日・90日などから選びます。選べる期間は変わることがあるので、画面で確認してください。
決め方は、その商品を見てから買うまでに、普通の人が何日くらい迷うかです。消耗品なら短く、比較に時間がかかる商品なら長く取ります。
- 比較に数日かかる商品:14日〜30日から始める
- 贈り物・季節の商品:イベントまでの日数に合わせる
- 買い替え周期がある消耗品(購入リマーケティング):使い切るまでの日数に合わせる
期間を長くすると対象の人数は増えますが、関心が薄れた人も含まれます。最初は短めで始め、表示回数が少なすぎる場合に延ばすほうが、無駄な配信を抑えられます。
何の商品を見せるか
広告に出す商品は、見られた商品そのものにするのが基本です。シリーズ展開しているなら、上位モデルや関連商品を見せる使い方もあります。ただし、在庫が少ない商品や、レビューが少ない商品は避けます。呼び戻した先で売り切れていたり、星が低かったりすると、広告費がそのまま無駄になります。
設定の手順
管理画面の名称は変わることがあるので、流れとして読んでください。
- 広告キャンペーンの作成でスポンサーディスプレイを選ぶ
- 狙い方で「オーディエンス」を選び、閲覧リマーケティング(または購入リマーケティング)を選ぶ
- 対象(自社商品を見た人など)と期間を選ぶ
- 広告に出す商品を選ぶ。最初は1つの商品群に絞る
- 入札の最適化の方法を選ぶ(ページの訪問を増やす、購入を増やすなど)
- 1日の予算と入札額を決める
- キャンペーン名に「SD_リタゲ_閲覧_30日」のように、対象と期間を入れる
7番目は地味ですが効きます。後でレポートを見るとき、名前だけで何のキャンペーンか分かるようにしておくと、検索広告と混ざりません。キャンペーンの組み方全体は広告キャンペーンの構造の作り方も参考にしてください。
予算と入札の考え方
リターゲティングは、対象が「前に見た人」に限られるため、配信できる人数に上限があります。予算を大きく積んでも、配信先が足りなければ使い切れません。
仮に、ある商品の月のセッション数が3,000、そのうち買わずに離れた人が2,700人とします。この2,700人が対象の上限です。全員に何度も出すより、1日の予算は小さく始め、表示回数と購入の数を見てから増やすほうが安全です。
入札額の決め方は、スポンサープロダクト広告と同じく、許容できる1件あたりの広告費から逆算します。仮に販売価格8,000円、目標ACOSを25%とすると、1件の購入に使ってよい広告費は2,000円です。購入率が10%なら、クリック単価は200円までが目安になります。ACOSの目標の立て方はACOSの目標の決め方と下げ方にまとめています。
成果の見方
リターゲティングの成果は、検索広告より見え方が複雑です。理由は2つあります。
1つ目は、もともと買うつもりだった人にも広告が出ることです。広告を見なくても数日後に戻ってきて買った人が、広告経由の購入として数えられることがあります。広告の数字だけを見ると、実力以上に良く見えます。
2つ目は、閲覧から購入まで日数が空くことです。始めて数日の数字で判断すると、まだ反映されていない購入を見落とします。
そこで、次の順に見ます。
| 見る順番 | 見るもの | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 表示回数 | 少なすぎるなら期間を延ばす。対象の人数が足りていない |
| 2 | クリック率 | 低いなら、見せている商品や画像を見直す |
| 3 | 広告経由の購入とACOS | 2週間以上たってから判断する |
| 4 | 商品全体の売上と購入率 | 始める前の同じ期間と比べて、全体が増えたか |
最後に見るべきは4番目、商品全体の売上です。広告経由の数字が良くても、商品全体の売上が始める前と変わっていないなら、もともと買う人に広告費を払っていただけの可能性があります。季節の影響があるので、前年の同じ時期とも並べて見てください。広告の効果の測り方全般は広告効果の測り方で詳しく書いています。
よくある失敗
- 始めて3日でACOSが高いと判断して止める。購入の反映を待たずに判断している
- 対象と期間を1つのキャンペーンに混ぜ、どれが効いたか分からなくなる
- 購入率の低い商品に呼び戻しをかけ、同じ理由で離れられる
- 在庫が少ない商品を出し、在庫切れの間も配信が続く
よくある質問
リターゲティングはいくらの予算から始めればいいですか。 対象の人数に上限があるので、検索広告より小さく始めて構いません。仮に1日500円〜1,000円で2週間回し、表示回数と購入の数を見てから増やすかどうかを決める、という進め方が無理のない始め方です。適切な金額は商品の価格と対象の人数で変わります。
検索広告と同時に回すと、広告費が二重にかかりませんか。 同じ人に両方の広告が出ることはあります。ただ、検索広告は検索している瞬間、リターゲティングは検索をやめた後に出るので、役割は分かれています。重複が気になる場合は、商品全体の売上と広告費の合計で、始める前と比べて判断してください。
購入リマーケティングはどんな商品で使えますか。 使い切ると買い直す消耗品や、シリーズで買い足す商品に向きます。一度買えば長く使う商品では、同じ商品を再度見せても効果は出にくいので、関連商品やアクセサリーを見せる使い方を検討します。
自分で設定するのが難しい場合はどうすればいいですか。 対象と期間を1つに絞った最小の構成から始めれば、設定の項目はそれほど多くありません。検索広告も含めた全体の配分を見直したい場合は、Amazon広告運用代行で任せられる範囲を確認するか、ご相談ください。
まとめ
- スポンサーディスプレイ リターゲティングは、商品ページを見た人や買った人にもう一度表示する配信
- 効くのは、比較に時間がかかる商品や、買い替え周期がある商品。低単価の衝動買い商品には効きにくい
- 購入率が低い商品は、呼び戻す前にページを直す
- 対象は「見たが買っていない人」の1つから始め、期間は迷う日数に合わせて決める
- 入札額は許容できる1件あたりの広告費から逆算する
- 成果は2週間以上たってから見て、最後は商品全体の売上で判断する
自社の広告全体のどこに取りこぼしがあるかを先に知りたい場合は、無料の診断で現状を整理するところから始めてください。
