Amazonの年末商戦は、1年でいちばん売れる時期であると同時に、いちばん準備の遅れが表に出る時期です。11月の大型セールから12月のギフト需要まで、2か月近く需要の高い状態が続きます。ここで在庫が切れると、売り逃しだけでなく、積み上げてきた検索順位まで落ちます。

Amazon年末商戦 対策の基本は、在庫と広告を別々に考えず、同じ日付表の上で組み立てるのが基本です。在庫が先に切れれば広告費は無駄になり、広告を絞りすぎれば在庫が年明けに残ります。この記事では、10月のうちに決めておくことを順番に並べます。

自社の商品が年末にどれくらい伸びるか分からない場合も、考え方は同じです。前年の実績がある商品から先に組み立て、ない商品は控えめに置きます。

Amazon年末商戦 対策は「日付表」を作ることから始める

年末商戦の準備で最初にやるのは、カレンダーに日付を書き込むことです。発注数や広告予算より先に、いつまでに何が終わっていないといけないかを固めます。

仮に、11月下旬に大型セールがあり、12月20日前後でギフト需要が落ち着く商品だとすると、日付は次のように並びます。

日付決め方例その日までに終わっていること
発注日納品締切 − 仕入れのリードタイム9月下旬年末分の数量を確定して発注
FBA納品の締切需要の立ち上がり − 受領にかかる日数10月下旬倉庫に到着している
販売可能の目標日需要の立ち上がりの1〜2週間前11月上旬在庫が販売可能になっている
セール前の準備完了日セール開始の1週間前11月中旬価格・クーポン・広告の設定が終わっている
追加発注の締切ギフト需要の終わり − リードタイム11月上旬これ以降は追加しない
在庫の出口判断日年明けの販売ペースが見えた時点1月中旬残り在庫の扱いを決める

日付は説明用の仮の値です。セールの日程は毎年変わるので、セラーセントラルの案内が出たら置き直してください。

ここでいちばんずれやすいのがFBAの受領にかかる日数です。年末前は多くの出品者が納品を集中させるため、倉庫に着いてから販売可能になるまでの日数が、平常時より長くなりやすい時期です。前年の年末に何日かかったかの記録があれば、それを使います。記録がなければ平常時の倍を見ておくと、計画が崩れにくくなります。納品で止まりやすい箇所はFBA納品の手順とつまずくところにまとめています。

年末の発注数は「前年の実績×伸び」から出す

日付が決まったら、次は数量です。年末商戦の数量は、平常月の延長では読めません。

前年の11月・12月の販売数がある商品は、それを起点にします。 仮に前年の11〜12月に800個売れ、そのうち在庫切れで販売できなかった日が5日あったとします。在庫切れの日の分を補正すると、実際の需要は800個より多かったことになります。

項目例考え方
前年11〜12月の販売数800個日別のレポートから合計する
在庫切れ日数の補正+70個在庫切れ前の1日あたり販売数×日数
前年の実需要870個補正後の数字を起点にする
今年の伸び×1.1広告を増やす・価格を変えるときだけ上げる
今年の見込み約960個870×1.1
追加発注で間に合う分150個11月上旬の販売ペースを見てから決める
初回の発注数約810個見込み − 追加分

数字はすべて説明用の仮の値です。

前年の実績がない商品は、控えめに置きます。 年末に初めて投入する商品は、平常月の販売数の1.5〜2倍程度を上限に置き、売れ行きを見て追加で対応する形が安全です。年末向けに大量に入れた在庫が年明けに残ると、保管料と値下げで利益が消えます。

数量が決まったら、資金の面からも確かめます。仮に着地原価が1個1,000円で800個なら、仕入れ代金は80万円です。この金額が1月末までに回収できなかった場合に資金繰りが回るかを、発注前に見てください。数量の計算は発注量シミュレーター、1個あたりの利益は利益シミュレーターで出せます。発注点そのものの考え方は在庫切れを防ぐ発注基準に書いています。

年末の広告予算は11月と12月で山を分けて置く

年末商戦の広告は、2か月を一律の予算で回すと効率が落ちます。11月の大型セール期と、12月のギフト期は、買う人の動きが違うからです。

時期買う人の動き広告の置き方
10月下旬〜11月上旬比較・下調べが増える少しずつ予算を上げ、売れる語を確かめておく
11月の大型セール期間価格を見て一気に買う予算を最大に。売れる語の入札を上げる
セール直後の数日需要が一時的に落ちる予算を戻す。クリック単価の高止まりに注意
12月上旬〜中旬ギフト・自分用の購入が続くセール期より低め、平常月より高めで維持
12月下旬配送日に間に合わない人が離れる段階的に絞る

ポイントはセールの前から少しずつ動かしておくことです。広告は配信を始めてすぐ狙いどおりの形にはなりません。セール当日に初めて予算を上げても、どの語に予算を寄せればいいかのデータが足りません。10月のうちに、年末に強化したい語の反応を確かめておきます。

日予算の上限は、在庫と合わせて決めます。仮に年末の見込み販売が960個で、広告経由の販売がその4割、1個売るのに必要な広告費が300円だとすると、2か月の広告費は960×0.4×300=約11.5万円です。これを11月に6割、12月に4割と置けば、月ごとの上限が決まります。数字は説明用の仮の値で、自社の実績に置き換えてから使ってください。予算の配分の考え方は広告予算の配分の決め方にまとめています。

よくある失敗は、在庫の残りを見ずに広告予算だけを上げることです。12月中旬に在庫が尽きると、それ以降の広告費は表示されないか、売れない状態に払うことになります。在庫が持つ日数を週に1回計算し、年末までもたない見込みなら、広告を絞って在庫を延ばす判断も持っておきます。

価格とクーポンは「セール後に戻す日」まで決めておく

年末商戦では、価格を下げる場面が増えます。大型セールへの参加、クーポン、まとめ買いの割引などです。ここで決めておくべきなのは、下げる幅よりも、いつ元に戻すかです。

セール用に下げた価格を戻し忘れると、12月のギフト需要を値下げした価格で売り続けることになります。12月は値下げしなくても売れやすい時期なので、ここでの値下げは利益を削るだけになりがちです。

  • セール参加の価格:開始日と終了日をカレンダーに書く
  • クーポン:有効期限をセール終了日に合わせて設定する
  • まとめ買いの割引:年末だけの設定なら、終了日を決めておく

セールに参加するかどうか自体の判断はセールに参加するかの判断基準、準備の流れは大型セールの準備で書いています。

年明けに在庫を残さないための手順

年末商戦の対策は、12月で終わりではありません。1月に何個残っていたら成功かを、商戦の前に決めておきます。

年明けは需要が落ちる商品が多く、残った在庫は保管料がかかり続けます。仮に年明けに200個残り、1個あたり月20円の保管料で3か月売り切るのにかかるとすると、200×20×3=12,000円です。これに加えて仕入れ代金が寝たままになります。保管料はサイズ・時期・保管期間で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確かめてください。

残りそうだと分かったら、次の順で打ちます。

  1. 12月中旬の時点で「在庫が持つ日数」を計算し、年末までに売り切れない分を見積もる
  2. 広告を強める、またはクーポンで反応を見る(年内の需要があるうちに)
  3. 年明けに残る分は、平常月の販売ペースで何か月かかるかを出す
  4. 3か月を超えるなら、セット販売・値下げ・返送のどれにするかを1月中旬に決める

よくある失敗は、「年明けにまた売れるだろう」と判断を先送りすることです。年末の伸びは年明けに続かない商品が多いので、平常月の数字で売り切る期間を見積もってください。保管料を下げる手は在庫保管料を削減する手順にまとめています。

年末商戦の前にやる点検リスト

10月中に、次の項目を1つずつ確かめます。

項目確認すること
在庫FBA納品の締切に間に合う発注が済んでいるか
商品ページギフト需要に合う画像・説明があるか、在庫切れのバリエーションがないか
価格セール価格と戻す日が決まっているか
広告年末に強化する語を10月に試しているか
配送年末の配送日について、商品ページの記載と実態がずれていないか
問い合わせ年末年始の対応体制が決まっているか

商品ページについては、ギフトとして買う人が知りたいこと(箱のサイズ、のし・ラッピングの可否、贈る相手の例)が説明に入っているかを見ます。12月は自分用ではなく贈り物として選ぶ人が増えるため、普段のページのままでは伝わらないことがあります。

よくある質問

年末商戦の準備は、いつから始めればいいですか。 数量を決めて発注するのは9月下旬から10月上旬が目安です。そこから逆算すると、前年の実績の集計と数量の検討は9月中に始めることになります。海外から仕入れる商品はリードタイムが長いので、さらに1か月前倒しで考えます。

前年の年末に在庫切れを起こしました。今年はどれくらい増やせばいいですか。 まず前年の在庫切れ日数を数え、在庫切れ前の1日あたり販売数を掛けて、売り逃した分を出します。その分を足した数字が前年の実際の需要です。そこに今年の伸びを掛けます。売り逃しを取り戻そうとして大きく積み増すと、今度は年明けに残るので、伸びは控えめに置いてください。

大型セールが終わったあと、広告予算はすぐ下げるべきですか。 セール直後の数日は需要が一時的に落ちるので、セール期間の予算のまま回すとクリック単価が高い割に売れない状態になりやすいです。いったん平常月の水準に戻し、12月に入ってギフト需要が出てきたら段階的に上げ直すのが扱いやすい形です。

年末向けの新商品は、いつまでに出品すればいいですか。 年末の需要が立ち上がる11月上旬に、レビューと検索順位がある程度ついている状態が理想です。そこから逆算すると、9月から10月上旬には販売を始めておきたいところです。それより遅い場合は、年末で大きく売ることより、年明け以降に向けた実績づくりと割り切って在庫を絞ります。

まとめ

  • Amazon年末商戦の対策は、在庫と広告を同じ日付表の上で組み立てることから始める
  • FBAの受領は年末前に遅れやすい。前年の記録がなければ平常時の倍を見ておく
  • 発注数は前年11〜12月の実績を在庫切れ日数で補正し、伸びは控えめに掛ける
  • 広告は10月から少しずつ動かし、11月のセール期と12月のギフト期で山を分ける
  • セールで下げた価格は戻す日まで先に決めておく
  • 年明けに残す在庫の上限を決め、12月中旬の時点で売り切れるかを計算する

年末の準備は、10月のうちに日付と数量が決まっていれば、11月以降は表のとおりに動くだけになります。自社の在庫と広告のどこから手を付けるべきか迷う場合は、Amazon運用の課題を絞り込む無料診断で現状を整理してから計画に入ってください。在庫と広告をまとめて任せたい場合はAmazon運用代行の内容もご覧いただけます。