Amazonの運用で詰まっているけれど、毎月の代行やコンサルを契約するほどではない。そんなときに候補になるのが、1回から頼めるスポットの相談です。継続契約より費用の負担が小さく、知りたいことだけを聞けるのが利点です。
一方で、単発の相談は使い方を間違えると「話を聞いて終わり」になりやすい形でもあります。1〜2時間で答えが出る悩みと、数か月かけて数字を見ないと答えが出ない悩みがあるからです。
この記事は、Amazon スポットコンサルの使い方に絞ります。単発で解決できるのは「判断」と「設計」、できないのは「継続的な調整」というのが基本の線引きです。費用はすべて仮の数字で示すので、実際の見積もりに置き換えて読んでください。継続契約のコンサルの費用の型はAmazonコンサルの費用に、外注の形の比べ方は外注先の選び方にまとめています。
スポットコンサルで解決できること・できないこと
単発の相談に向く悩みと向かない悩みを先に分けます。ここを外すと、費用を払っても何も変わりません。
| 悩みの種類 | 単発で解決しやすいか | 理由 |
|---|---|---|
| 広告のキャンペーン構造を作り直したい | しやすい | 設計図を一度作れば、運用は自社で回せる |
| 新商品の価格と利益の見通しを立てたい | しやすい | 原価・手数料・広告費を並べれば判断できる |
| 商品ページのどこが弱いか知りたい | しやすい | 画面と数字を見れば指摘できる |
| 代行会社の見積もりや契約書を見てほしい | しやすい | 書面を読めば論点が出る |
| 売上が落ちた原因を突き止めたい | 条件付き | 数字がそろっていれば原因の候補は絞れる |
| 毎日の入札や除外を調整してほしい | しにくい | 継続して数字を見ないとできない作業 |
| 半年かけてブランドを育てたい | しにくい | 打ち手の結果を見ながら修正する必要がある |
単発に向くのは「一度決めれば自社で動ける」悩みです。設計図・判断基準・優先順位が手に入れば、あとは自社で回せます。反対に、毎日の調整や結果を見ての修正が必要な悩みは、1回の相談では答えが出ません。
「売上が落ちた原因」は中間です。必要な数字を事前にそろえて渡せば、原因の候補を2〜3個に絞るところまでは1回でできます。そこから先の検証は自社で進め、結果を持って2回目の相談をする、という使い方になります。原因の切り分けの手順は売上が急に落ちたときの原因の見方に書いています。
継続契約と比べた費用の考え方
スポットの相談は1回あたりの金額で書かれていることが多く、継続契約の月額とは並べにくい形です。年間でいくら使うかに直して比べます。計算の形を示す仮の条件で、実際の水準を示すものではありません。
- スポット相談:1回2時間で50,000円と仮定
- 継続コンサル:月額100,000円(月2回の面談とチャットでの質問)と仮定
| 使い方(仮定) | 年間の回数 | 年額 |
|---|---|---|
| スポットを四半期に1回 | 4回 | 200,000円 |
| スポットを2か月に1回 | 6回 | 300,000円 |
| スポットを毎月1回 | 12回 | 600,000円 |
| 継続コンサル | 24回の面談+随時の質問 | 1,200,000円 |
この仮定では、スポットを毎月使っても継続契約の半分です。ただし、スポットは相談と相談の間に質問できず、相手が自社の数字を追い続けてもいない点が違います。毎回、前提の説明から始まる分だけ、1回あたりで進む量は継続契約より少なくなります。
もう一つ、相談の合間に起きた変化に相手が気づけないことも違いです。継続契約なら、広告費が急に増えた・在庫が減ってきたといった変化に相手から声がかかることがありますが、スポットでは自社が気づいて持ち込まない限り話題になりません。スポットを使うなら、自社で数字を毎週見る習慣があることが前提になります。
継続契約に切り替える目安
次のどれかに当てはまったら、スポットより継続契約が合う段階です。
- スポットの相談が毎月になり、毎回の前提説明に30分以上かかっている
- 相談と相談の間に「この判断で合っているか」を聞きたい場面が月に何度もある
- 相談で決めた打ち手を、社内で実行しきれずに次の相談を迎えている
3番目は、相談の形ではなく実行する人手の問題です。この場合はコンサルより、作業まで任せる運用代行が候補になります。違いはコンサルと運用代行の違いを参考にしてください。
相談の前に用意するもの
単発の相談は、準備で8割が決まります。当日に数字を探し始めると、それだけで時間がなくなります。
| 用意するもの | 中身 | どこから出すか |
|---|---|---|
| 相談したいことの一文 | 「何を決めたいか」を1行で | 自社で書く |
| 商品の一覧 | 主力3〜5商品のASIN・売価・原価 | 自社の台帳 |
| 直近3か月の売上 | 商品別の売上・販売数・セッション数 | ビジネスレポート |
| 広告の数字 | キャンペーン別の広告費・広告経由売上・ACOS | 広告レポート |
| 在庫の状態 | 在庫数・1日あたりの販売数・発注から入荷までの日数 | 在庫レポートと自社の記録 |
| これまで試したこと | 何をして、数字がどう動いたか | 自社のメモ |
一番大事なのは1行目の「何を決めたいか」です。「売上を伸ばしたい」では広すぎ、「主力商品の広告費を月10万円から増やすべきか決めたい」なら1回で答えが出せます。決めたいことが3つ以上あるなら、優先順位をつけて上の1〜2つに絞ってください。
資料は相談の2〜3日前に送っておくと、相手が事前に目を通せます。当日の時間を数字の読み込みではなく判断に使えるので、同じ2時間でも進む量が変わります。相談前の準備は個人・小規模で相談するときの用意にも書いています。
利益の数字は先に出しておく
広告や価格の相談なら、1個あたりの利益を先に出しておくと話が早く進みます。売価・原価・販売手数料・FBA手数料を入れれば、広告費をいくらまでかけてよいかの線が出ます。手数料率やFBA料金はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。計算は利益シミュレーターでできます。
当日の進め方と終わった後の動き方
2時間の相談なら、時間の配分は次が目安です。
- 最初の10分:決めたいことと前提の確認。資料で分からなかった点を相手が質問する
- 次の60分:数字を見ながら原因と打ち手の候補を出す
- 次の30分:打ち手の優先順位と、自社でやる手順を決める
- 最後の20分:次に何を見れば成果が分かるか、いつ見直すかを決める
4番目を飛ばすと、打ち手を実行しても、うまくいったのかどうかを判断できません。「2週間後にこの数字がこうなっていれば継続、なっていなければ戻す」まで決めて終わるのが理想です。
終わった後にやること
- 相談の当日中に、決まったことを箇条書きで残す。録画や議事録があれば見直す
- 打ち手を「今週やる」「今月やる」「次の相談で決める」に分ける
- 決めた見直しの日に、数字を同じ形式で記録する
- 2回目の相談をするなら、前回の記録と結果を最初に渡す
スポットの相談の価値は、話を聞いた時点ではなく、自社で打ち手を実行した時点で出ます。実行しないまま次の相談を申し込むと、同じ話をもう一度聞くことになります。月に一度の点検の型は月次チェック20項目にまとめているので、相談で決めたことを点検表に足しておくと実行が続きます。
スポットの相談でよくある失敗
単発の相談がうまくいかなかった例には、決まった形があります。申し込む前に、自社が当てはまっていないか確認してください。
| 失敗の形 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 相談したいことが5つ以上ある | どれも浅い助言で終わる | 1回で決めることを1〜2つに絞り、残りは次回に回す |
| 数字を当日に探す | 前半の時間が資料探しで消える | 2〜3日前に資料を送り、足りない数字を先に聞いてもらう |
| 打ち手だけ聞いて手順を聞かない | 社内で何から手をつけるか分からない | 「誰が・いつ・何をするか」まで決めて終える |
| 見直しの日を決めない | 実行しても効果が分からない | 見る数字と見直す日を当日中に決める |
| 一般論を聞きに行く | 調べれば分かる話で時間が終わる | 自社の数字を前提にした判断だけを聞く |
最も多いのは1行目です。たとえば「広告・商品ページ・在庫・価格を一通り見てほしい」と申し込むと、2時間では各分野に30分ずつしか使えません。各分野で「よくある改善点」を聞いて終わり、自社の数字に踏み込めないまま時間が来ます。
分野を広く見たいなら、単発の相談より先に、弱い場所を絞る作業が必要です。その作業を相談の前に自社でやっておくか、1回目を「どこから手をつけるかを決める回」と割り切って使うかのどちらかです。2回目以降で、絞った分野を深く掘ります。
5行目の一般論も避けたい使い方です。「ACOSの目安はいくつか」「広告は何から始めるべきか」は、記事や公式の案内で調べられます。単発の相談で聞く価値があるのは、「自社のこの商品の粗利率で、ACOSを何%まで許すか」のように、自社の数字がないと答えが出ない問いです。
相談相手を選ぶときに確かめること
スポットの相談は契約期間がない分、相手を選ぶ手間を惜しみがちです。申し込む前に、次を確かめてください。
- 相談したい分野(広告・商品ページ・在庫・価格)を、相手が普段から扱っているか
- 事前に資料を送れるか。送った資料に目を通してもらえるか
- 相談の記録(議事録・録画・資料)を受け取れるか
- 相談で出た打ち手を、自社で実行する手順まで落とし込んでもらえるか
- 相談の後に追加の質問ができるか。できるなら何日以内・何回までか
- 継続契約や代行を強く勧められた場合、断っても問題ないか
最後の項目は、スポットを入口にして継続契約を売る形があるためです。継続契約が合う段階なら検討すればよいのですが、単発で十分な悩みに月額の契約は要りません。相談の場で「この悩みは単発で足りますか」と聞いて、正直に答えてくれる相手を選んでください。
当社は2019年からAmazonの支援をしていて、これまでに30ブランド・300商品ほどを見てきました。継続の支援だけでなく、広告の設計や価格の判断といった単発の相談も受けています。相談の形と料金はAmazonコンサルティングの内容と料金プランに公開しています。
よくある質問
1回の相談で、売上が上がるところまで見てもらえますか。 1回で見られるのは、売上を上げるための打ち手の設計と優先順位までです。売上が実際に動くのは、打ち手を実行してから数週間後になります。結果を確かめたい場合は、見直しの日を決めて2回目の相談を入れるか、その時点で継続契約を検討してください。
相談する内容がまとまっていなくても申し込めますか。 申し込むことはできますが、時間の多くが悩みの整理に使われます。まとまらない場合は、困っていることを箇条書きで全部書き出し、その中から「今月中に決めないと困るもの」を1つ選んでください。それが相談の1行目になります。自社で整理しきれない場合は、先に無料の運用診断で弱い場所を絞っておくのも一つの方法です。
セラーセントラルの画面を相談中に見せる必要はありますか。 画面共有で見せる方法と、レポートを書き出して事前に送る方法があります。ログイン情報を相手に渡す必要はありません。事前に送る形のほうが、相手が落ち着いて数字を読めるので、当日の議論が深くなります。
スポットで頼んだ後、同じ相手に代行を頼むのは問題ありませんか。 問題ありません。むしろ一度相談して、説明の分かりやすさや提案の具体性を確かめてから代行を頼めるのは、スポットの利点の一つです。代行を頼む場合の比べ方は運用代行の比較の10項目にまとめています。
まとめ
- 単発の相談で解決しやすいのは、一度決めれば自社で動ける「判断」と「設計」の悩み。毎日の調整や長期の育成は向かない
- 費用は年間の回数に直して継続契約と比べる。仮の条件では、毎月使っても継続契約より軽い
- 毎回の前提説明が長い、間に質問したい場面が多い、実行しきれないなら、継続契約や代行に切り替える段階
- 準備で8割が決まる。「何を決めたいか」を1行にし、売上・広告・在庫・利益の数字を2〜3日前に送る
- 当日は最後に「何を見れば成果が分かるか、いつ見直すか」まで決める
- 価値が出るのは実行した時点。決まったことを当日中に残し、見直しの日に数字を記録する
まずは、いま一番決めたいことを1行で書いてみてください。それが書ければ、相談の準備の半分は終わっています。単発の相談を検討している場合はお問い合わせから、決めたいことを添えてご連絡ください。
