Amazonの運用を外に頼もうと決めても、次に迷うのが「誰に頼むか」です。運用代行の会社、コンサルタント、個人のフリーランス、単発で頼めるスポット依頼。呼び方も料金の型もばらばらで、見積もりを並べても比べにくいのが実情です。

外注先選びで失敗する会社の多くは、相手を比べる前に、自社が何を任せたいのかを決めていません。任せたい範囲があいまいなまま契約すると、「そこは範囲外です」「それは御社の作業です」というすれ違いが毎月起きます。

この記事では、Amazon運用の外注先を選ぶ順番を、型の違い、任せる範囲の切り分け、費用の試算、面談での確かめ方、契約前の確認点の順に書きます。筆者は2019年から、30ブランド・300商品のAmazon運用に関わってきました。その中で見てきた、選び方のつまずきも合わせて書きます。

Amazon運用の外注先は4つの型に分かれる

まず、外注先を「誰が手を動かすか」「どこまで責任を持つか」で4つに分けます。名前ではなく中身で分けるのがポイントです。同じ「コンサル」と名乗っていても、実際には作業まで引き受けるところもあります。

型主な中身手を動かす人向いている会社
運用代行広告・商品ページ・在庫・価格の日々の運用外注先社内に担当者を置けない、置いても時間が取れない
コンサル方針づくり・数字の読み方・改善提案自社担当者はいるが、判断の軸が無い
フリーランス広告運用や画像制作など特定の作業外注先(個人)任せたい作業が1〜2種類に絞れている
スポット依頼出品ページの作成、アカウント診断など単発外注先立ち上げ時や一時的な課題だけを片付けたい

運用代行とコンサルの違いは、ひと言でいえば作業を誰がやるかです。運用代行は外注先が手を動かし、コンサルは自社が手を動かします。コンサルは費用を抑えやすい一方、社内に作業する人と時間が無いと、提案を聞いても何も変わりません。詳しい違いはAmazonコンサルの費用とAmazon運営代行とはで扱っています。

フリーランスは、得意な作業がはっきりしていれば費用に対する効果が大きい型です。ただし、1人で回しているため、急な病気や繁忙で止まる可能性があります。広告と在庫と商品ページのように複数の領域をまたぐ判断は、1人の専門外になりやすい点にも注意が必要です。

選ぶ前に、任せる仕事と社内に残す仕事を切り分ける

外注先を比べる前に、Amazon運用の仕事を洗い出し、「任せる」「社内に残す」「一緒にやる」に分けます。これが決まると、どの型が合うかがほぼ決まります。

仕事外注しやすさ社内に残したほうがよい理由・注意点
広告の入札・除外・予算配分高い目標ACOSや利益の基準は自社が決める
商品ページの文章・画像高い商品の仕様・使い方の正しさは自社が確認する
キーワード・競合の調査高い調査結果をどう使うかの判断は共有する
在庫・発注の計画中仕入れ先との交渉、発注の決裁は自社に残る
価格の決定中利益の最終責任は自社。提案までを任せる
問い合わせ・レビュー対応中商品の不具合情報は社内の改善に使う
商品企画・仕入れ低い事業の中心なので社内に残す

ここで大事なのは、「決める仕事」は外注しても最後は自社に残るということです。目標とする利益率、使ってよい広告費の上限、値下げしてよい下限。これらを外注先に丸投げすると、売上は伸びても利益が残らない運用になりがちです。

切り分けができたら、「任せる」に入った仕事の数で型を選びます。

  • 任せる仕事が4つ以上 → 運用代行
  • 任せる仕事は少ないが、判断の軸が欲しい → コンサル
  • 任せる仕事が1〜2つに絞れる → フリーランス
  • 決まった期間だけ任せたい → スポット依頼

外注先の費用を比べるときの試算のしかた

料金の型は、月額固定、売上に対する成果報酬、固定と成果報酬の組み合わせ、作業単位の単価に分かれます。見積もりの金額だけを並べると判断を誤るので、自社の売上で1年分の総額に直して比べます。

仮に、Amazonの月商が300万円、1年後に月商450万円を目指している会社で、次の3つの見積もりが出たとします(金額はすべて比較のための仮定です)。

見積もり料金の型今の月商での月額月商450万円での月額
A月額固定15万円15万円15万円
B売上の5%15万円22.5万円
C固定8万円+売上の3%17万円21.5万円

今の月商で見ると3つはほぼ同じですが、売上が伸びるほどBとCの負担が増えます。一方、売上が伸びなかった場合はBがいちばん軽く済みます。どの型が得かは、売上がどう動くと見ているかで変わるということです。

1年分に直すと差がはっきりします。仮に月商が300万円から毎月少しずつ伸びて、12か月目に450万円に届いたとすると、平均の月商はおよそ375万円です。この場合の年間の外注費は、Aが180万円、Bがおよそ225万円、Cがおよそ231万円になります。反対に、月商が300万円のまま動かなければ、Aが180万円、Bが180万円、Cが204万円です。見積もりを比べるときは、「伸びた場合」と「伸びなかった場合」の2通りで年額を出しておくと、自社にとって無理のない型が選べます。

成果報酬型を比べるときは、次の2点を事前に確かめてください。

  • 成果の基準が「売上」か「粗利」か。売上基準だと、値下げや広告の増額で売上を作るほど外注先の報酬が増え、利益が減ることがある
  • 広告費が報酬の計算に含まれるか。含まれるなら、広告費を増やすほど報酬も増える

料金の型ごとの向き不向きはAmazon運用代行 費用の相場と料金の型に詳しく書いています。また、外注費を払っても利益が残るかは、商品ごとの粗利で決まります。利益シミュレーターに売価・原価・手数料を入れて、外注費を差し引いた後の利益を先に確かめておくと、払える上限が見えます。手数料や配送料はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で計算してください。

面談で確かめる質問

候補が2〜3社(人)に絞れたら、面談で次の質問をします。答えの中身だけでなく、答え方が具体的かどうかを見てください。

質問見るポイント
最初の1か月で何をしますか現状の確認から始めるか。いきなり広告の増額を提案しないか
自社と似た商品・価格帯の経験はありますかカテゴリーや価格帯が近い経験を、数字を交えて話せるか
担当は誰で、何社を同時に見ていますか担当者の名前と役割がはっきりしているか。担当が頻繁に替わらないか
毎月の報告では何を見せてくれますか売上だけでなく、利益・広告費・在庫まで含むか
判断に迷ったとき、誰が決めますか自社の決裁が必要な範囲を先に決めてくれるか
成果が出ない月は何をしますか原因の切り分けの手順を話せるか。「様子を見ましょう」で終わらないか
解約したら何が手元に残りますか広告の設定、作った画像や文章、分析の資料を引き渡せるか

特に最後の質問は重要です。外注先が作った広告キャンペーンや画像の権利、分析のデータが解約時に手元に残らないと、次の外注先や社内の担当者が一からやり直すことになります。解約時の流れは運用代行の解約と引き継ぎにまとめています。

面談で気を付けたいのは、根拠のない数字を約束する相手です。「3か月で売上2倍」のように、自社の商品や市場を見る前に成果を言い切る場合は、何を根拠にしているのかを聞いてください。Amazonの売上は、商品の力、価格、競合、在庫の状況で大きく変わります。現状を見ずに出せる数字はありません。

外注先選びでよくある失敗

ここまでの手順を飛ばしたときに起きやすい失敗を挙げます。

1. 料金の安さだけで選ぶ

月額が安い外注先は、そのぶん1社あたりにかけられる時間が少ないことがあります。広告の設定は作ってくれても、その後の調整が月1回だけ、ということも珍しくありません。「何を、どの頻度でやるか」を並べて比べてください。

2. 任せる範囲を書面にしない

「商品ページも見てくれると思っていた」「在庫は範囲外だった」というすれ違いは、ほとんどが範囲を書面にしていないことから起きます。任せる仕事の表を契約書か発注書に添付しておくと防げます。契約書で見るべき点は運用代行の契約書で確認する10項目に書いています。

3. 社内の窓口を決めない

外注先からの質問や確認に、誰が答えるかを決めていないと、返事が遅れて運用が止まります。外注しても、社内に週1回30分程度は対応できる窓口を1人置いてください。

4. 最初の3か月で判断してしまう

外注して最初の1〜2か月は、現状の把握と土台の整備に使われることが多く、数字がすぐに動くとは限りません。逆に、半年たっても報告の中身が変わらない、改善の打ち手が出てこない場合は、見直しの時期です。判断の時期と基準を、契約前に外注先とすり合わせておくと、感覚での判断を避けられます。

5. 報告を受け取るだけで読まない

外注すると、毎月の報告書が届きます。ここで売上の数字だけを見て終わらせると、利益が削れていることや、在庫が積み上がっていることに気付くのが遅れます。報告を受け取ったら、少なくとも次の3つは自社の目で確かめてください。

  • 広告費が売上全体に対して何%か(前月より増えていないか)
  • 商品ごとの粗利が、外注前の基準を下回っていないか
  • 在庫が何か月分あるか(持ちすぎ・切らしそうな商品が無いか)

この3つを月に1回、15分ほど見るだけで、外注先との会話の質が変わります。数字の意味が分からない箇所は、その場で外注先に質問して構いません。質問に対して根拠を示して答えてくれるかどうかも、外注先を見極める材料になります。

候補を点数で比べたい場合は、運用代行 比較の10項目評価表も使えます。

契約前の最終チェック

契約書にサインする前に、次の点を確認します。

  1. 任せる仕事と、社内に残る仕事が書面になっているか
  2. 料金の計算方法(成果の基準、広告費の扱い)が明記されているか
  3. 報告の頻度と、報告に含まれる数字が決まっているか
  4. 最低契約期間と、途中解約の条件が分かっているか
  5. セラーセントラルの権限の渡し方(ユーザー権限の範囲)が決まっているか
  6. 解約時に引き渡されるもの(設定、画像、文章、データ)が決まっているか
  7. 判断の時期(何か月後に、何の数字で続けるかを決めるか)をすり合わせたか

セラーセントラルの権限は、ログイン情報をそのまま渡すのではなく、ユーザー権限を追加して必要な範囲だけを付与する形にしてください。解約時に権限を外すだけで済み、管理もしやすくなります。

いずれ社内で回したいと考えているなら、外注の段階から「何をどう判断しているか」を報告に書いてもらう契約にしておくと、引き継ぎが楽になります。進め方はAmazon運用の内製化の進め方を参考にしてください。

よくある質問

運用代行とコンサル、どちらから始めるべきですか。 社内に、週に数時間以上Amazonの作業に使える担当者がいるかどうかで決めてください。いればコンサルで判断の軸を作り、社内で手を動かすほうが費用を抑えられ、知見も残ります。いなければ、提案を受けても実行できないので、運用代行から始めるほうが数字は動きやすくなります。途中で型を変えることもできるので、最初の契約は短めにしておくと判断しやすくなります。

複数の外注先に分けて頼んでもいいですか。 広告はフリーランス、画像は制作会社、のように分けることはできます。ただし、広告の成果は商品ページの出来に、商品ページの効果は広告の当て方に左右されるため、分けるほど原因の切り分けが難しくなります。分ける場合は、全体の数字を見て判断する役を社内か外注先のどちらかに1つ決めておいてください。

小規模で月商が少なくても、外注先は見つかりますか。 見つかりますが、料金の型との相性に注意が必要です。月額固定の外注先は、月商が小さいと費用の比率が重くなります。まず外注費を差し引いても利益が残るかを試算し、残らない場合はスポット依頼やコンサルで土台だけ整え、売上が伸びてから運用代行を検討する順番が現実的です。小規模での頼み方はAmazonの運用は個人・小規模でも相談できるかにも書いています。

まとめ

  • Amazon運用の外注先は、運用代行・コンサル・フリーランス・スポット依頼の4つの型に分けて考える
  • 比べる前に、任せる仕事と社内に残す仕事を表にして切り分ける
  • 利益率や広告費の上限など「決める仕事」は外注しても自社に残る
  • 費用は見積もり額ではなく、自社の売上で1年分の総額に直して比べる
  • 面談では、最初の1か月の動き、担当者、報告の中身、解約時に残るものを確かめる
  • 任せる範囲、料金の計算方法、権限、判断の時期を書面にしてから契約する

自社にどの型が合うかを整理したい場合は、Amazon運用代行と料金の考え方をご覧ください。任せる範囲の切り分けから一緒に考えたい場合は、お問い合わせからご相談いただけます。