Amazonの運用は、毎日の作業に追われていると、全体を見直す時間がなくなります。広告の入札、在庫の補充、問い合わせの対応。目の前の作業は片付いていても、気づかないうちに利益率が下がっていたり、在庫が積み上がっていたりします。
Amazon運用 月次チェックは、月に一度、全体を同じ順番で見て、先月から変わったことを見つける作業です。毎日見ている数字を細かく追うのではなく、1か月分を並べたときに初めて見える変化を拾います。
この記事では、月に一度点検する20項目を5つの分野に分けて並べ、半日で終わらせる順番と、点検のあとに来月やることを決める方法を書きます。
Amazon運用 月次チェックは「利益」から見る
20項目を見る順番には意味があります。最初に利益を見て、変化があれば、その原因を広告・在庫・商品ページへたどる順番です。
売上から見始めると、「売上は伸びている」で安心してしまい、利益が削られていることに気づきません。逆に利益から見ると、売上が伸びているのに利益が減っている、といったずれにすぐ気づきます。
点検の流れは次のとおりです。
- 利益の数字を先月・前年同月と比べる(項目1〜4)
- 変化が大きかった商品について、広告の数字を見る(項目5〜9)
- 在庫の状態を見る(項目10〜13)
- 商品ページと検索での見え方を見る(項目14〜17)
- アカウントの状態を確かめる(項目18〜20)
全部の商品を全項目で見る必要はありません。利益の変化が大きかった商品から順に、時間が許す範囲で深く見ます。
利益の4項目
| 番号 | 項目 | 見る場所 | 判断の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 商品ごとの粗利 | 売上と手数料・原価・広告費を合わせた表 | 先月から10%以上動いた商品に印をつける |
| 2 | 売上に対する広告費の割合 | 広告の管理画面と売上の合計 | 先月から2ポイント以上動いたら原因を見る |
| 3 | 手数料の変化 | 支払いのレポート | 1個あたりの手数料が先月と違う商品がないか |
| 4 | 返品・返金の件数 | 返品のレポート | 特定の商品に偏っていないか |
項目1の「10%以上」は目安です。売上の小さい商品は振れ幅が大きいので、金額でも見て判断してください。
項目3は見落としやすい項目です。手数料は、カテゴリー・サイズ・時期で変わります。商品のサイズ区分が変わっていたり、料金の改定があったりすると、売上が同じでも利益が減ります。数字はセラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確かめてください。手数料の調べ方はFBA手数料の調べ方、粗利の計算は利益シミュレーターで出せます。
仮に、商品Aの売上が先月と同じ50万円で、粗利が10万円から8万円に下がっていたとします。2万円の差がどこから来たのかを、広告費・手数料・原価・返品の順に分けていきます。広告費が1.5万円増えていれば、次の広告の項目で原因を探します。数字は説明用の仮の値です。
広告の5項目
| 番号 | 項目 | 見る場所 | 判断の目安 |
|---|---|---|---|
| 5 | キャンペーンごとの広告費と売上 | 広告のキャンペーンのレポート | 広告費が増えたのに売上が増えていないもの |
| 6 | 検索用語の上位 | 検索用語レポート | 注文0でクリックが多い語 |
| 7 | 新しく売れた語 | 検索用語レポート | マニュアルへ移していない語 |
| 8 | 予算切れの日数 | キャンペーンの予算の状況 | 売れているキャンペーンが予算切れになっていないか |
| 9 | 入札額と実際のクリック単価 | ターゲティングのレポート | 入札が実際の単価を大きく上回っていないか |
項目6と7は、毎週見ている場合でも、月に一度は1か月分をまとめて見ます。週単位では少なすぎて判断できなかった語が、1か月分を合わせると判断できる量になっていることがあるからです。外す語の線引きは除外キーワードの決め方、売れた語の移し方はオート広告とマニュアル広告の使い分けに書いています。
よくある失敗は、広告の数字だけを見て判断することです。広告の効率が落ちていても、その原因が在庫切れや価格の変更にあることがあります。広告の項目で気になった商品は、次の在庫・商品ページの項目も合わせて見てください。
在庫の4項目
| 番号 | 項目 | 見る場所 | 判断の目安 |
|---|---|---|---|
| 10 | 在庫が持つ日数 | 在庫数と直近の販売数 | リードタイムより短い商品はないか |
| 11 | 在庫切れの日数 | 在庫の履歴 | 先月に在庫切れがあった商品 |
| 12 | 長く動いていない在庫 | 在庫の年齢が分かるレポート | 90日以上売れていない在庫 |
| 13 | 保管料の推移 | 保管料のレポート | 先月から増えた商品 |
項目10は、次の式で出します。
在庫が持つ日数 = 現在の在庫数 ÷ 直近30日の1日あたり販売数
これが発注から販売可能になるまでの日数より短ければ、今月中に発注しないと在庫が切れます。発注の基準は在庫切れを防ぐ発注基準、数量の計算は発注量シミュレーターで出せます。
項目12は、放っておくと保管料がかかり続ける在庫です。月次の点検で毎回リストに出てくる商品は、値下げ・セット販売・返送のどれにするかを決める段階です。
商品ページ・検索とアカウントの7項目
商品ページと検索の4項目
| 番号 | 項目 | 見る場所 | 判断の目安 |
|---|---|---|---|
| 14 | 主力の語での検索順位 | 実際の検索結果 | 先月から大きく下がった語 |
| 15 | 商品ページの表示と転換率 | ビジネスレポート | セッションは同じで転換率が下がった商品 |
| 16 | 新しいレビューと星の平均 | 商品ページ | 星1・2のレビューの内容 |
| 17 | 競合の価格と新規の出品 | 主力の語の検索結果 | 価格を大きく下げた競合、新しく出てきた競合 |
項目15で転換率が下がっていたら、項目16と17を合わせて見ます。低い評価のレビューが増えた、競合が値下げした、といった原因が見つかることが多いです。ビジネスレポートの見方はビジネスレポートの見方、検索順位の確かめ方は検索順位の確認方法にまとめています。
よくある失敗は、商品ページを毎月細かく書き換えることです。変えた効果を見る前に次の変更を入れると、何が効いたのか分かりません。月次の点検で見つけた課題のうち、商品ページの変更は1か月に1か所までに絞るのが扱いやすい形です。
アカウントの3項目
| 番号 | 項目 | 見る場所 | 判断の目安 |
|---|---|---|---|
| 18 | アカウントの健全性 | アカウント健全性のページ | 指標が基準に近づいていないか |
| 19 | 出品停止・警告の通知 | セラーセントラルの通知 | 対応していない通知がないか |
| 20 | 権限と担当者 | ユーザー権限の設定 | 不要な権限が残っていないか |
この3項目は、問題がなければ数分で終わります。ただし見落とすと影響が大きい項目です。特に項目19は、日々の通知に埋もれやすいので、月に一度は一覧で見直してください。健全性の見方はアカウント健全性の見方に書いています。
点検のあとに来月やることを決める
20項目を見終わったら、来月変えることを3つまでに絞ります。点検で見つかった課題を全部同時に直そうとすると、どの変更が効いたのか分からなくなります。
選ぶときの基準は次の順です。
- 放っておくと損が広がるもの(在庫切れが近い、警告が出ている)
- 利益への影響が大きいもの(粗利の下がり幅が大きい商品)
- 手間が少なく、結果がすぐ見えるもの(除外キーワードの追加など)
決めたことは、変更した日・理由・結果を見る日と一緒に記録しておきます。記録の残し方は運用の記録の残し方にまとめています。翌月の点検は、まずこの3つの結果を確かめるところから始めます。
点検にかかる時間は、商品数が10点前後なら半日が目安です。商品数が多い場合は、売上の上位の商品だけを全項目で見て、残りは利益の4項目だけを見る、という分け方にします。
よくある質問
月次の点検は、月のいつ頃にやればいいですか。 前月の数字が出そろう月初の数日以内が目安です。月の途中で点検すると、日数の違う期間を比べることになります。毎月同じ日に予定を入れておくと続けやすくなります。
毎日・毎週の作業と、月次の点検は何が違いますか。 毎日・毎週の作業は、在庫の補充や入札の調整など、目の前の数字に対応するものです。月次の点検は、1か月分を並べて初めて見える変化(利益率の低下、在庫の積み上がり、検索順位の下落)を見つけるためのものです。毎日見ている人ほど、ゆっくり進む変化に気づきにくくなります。
20項目を全部見る時間がありません。どれを優先すればいいですか。 利益の4項目と、在庫が持つ日数(項目10)だけは毎月見てください。利益の変化が分かれば、どこを深く見ればいいかが決まります。在庫が持つ日数は、見落とすと在庫切れで順位まで落ちるためです。
外注先に運用を任せている場合も、月次の点検は必要ですか。 必要です。外注先の報告を受け取る側として、利益の4項目とアカウントの3項目は自社でも見ておくのが安全です。報告の数字と自社で見た数字がずれていないかを確かめる機会にもなります。
まとめ
- Amazon運用 月次チェックは、先月と比べて変わったことを探す作業
- 見る順番は、利益 → 広告 → 在庫 → 商品ページ → アカウント
- 利益の変化が大きい商品から深く見る。全商品を全項目で見なくてよい
- 手数料はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、1個あたりの変化も見る
- 在庫が持つ日数がリードタイムより短い商品は、今月中に発注する
- 点検のあとに来月変えることを3つまでに絞り、記録に残す
月次の点検を3か月続けると、自社の運用でどこが崩れやすいかが見えてきます。どの項目から手を付けるべきか迷う場合は、Amazon運用の課題を絞り込む無料診断で現状を整理してください。点検そのものを任せたい場合はAmazon運用代行の内容もご覧いただけます。
