商品数が10を超えたあたりから、在庫の確認と発注に毎週半日以上取られるようになった。欠品させたくないので多めに発注し、今度は保管料がかさむ。Amazonの在庫管理を外注したいという相談は、たいていこの状態から始まります。

結論から書くと、Amazonの在庫管理は外注できます。ただし「全部任せる」と頼むと、ほぼ失敗します。在庫管理の中には、数字を拾って計算する作業と、いくら資金を寝かせてよいかを決める判断が混ざっているからです。前者は外に出せますが、後者は自社に残す必要があります。

この記事では、Amazon 在庫管理 外注で任せられる範囲と、料金の型ごとの年額の比べ方、契約前に決めておくことを順に書きます。数字はすべて仮の条件です。自社の商品数と発注頻度に置き換えて読んでください。在庫管理そのもののやり方はAmazonの在庫管理の方法にまとめています。

Amazonの在庫管理を外注する前に、作業を3つに分ける

在庫管理と一口に言っても、中身は性質の違う3種類の仕事です。外注の範囲は、この分け方で決めると揉めません。

区分具体的な作業外注のしやすさ理由
集計在庫数・入荷予定・販売数の拾い出し、在庫日数の計算、欠品予測の一覧化外に出しやすい手順が決まっていて、正解が1つに決まる
実務納品プランの作成、ラベル貼りの指示、仕入れ先への発注連絡、入荷の照合条件付きで出せる発注ルールが文書になっていれば任せられる
判断発注数の最終決定、セール前の積み増し、撤退・値下げ処分、資金配分自社に残す資金繰りと商品戦略に直結し、責任を外に出せない

集計と実務は外に出し、判断は自社に残す。この線を最初に引いておくと、依頼内容も見積もりも揃います。逆に、この線が曖昧なまま「在庫管理を丸ごと」と頼むと、外注先は判断を避けて多めに発注するか、確認待ちで止まるかのどちらかになります。

判断を残すとは、決める基準を渡すこと

判断を自社に残すといっても、毎回すべてを自分で決める必要はありません。発注点(この在庫日数を切ったら発注する線)と、上限在庫(これ以上は持たない線)を数字で決めて渡せば、その範囲内の発注は外注先が回せます。自社が見るのは、その範囲を外れたときだけです。

発注点の考え方は欠品させない発注の基準、安全在庫の出し方は安全在庫の計算方法に式を載せています。外注を始める前に、この2つの数字だけは自社で持っておいてください。

外注先の種類と、任せられる範囲

在庫管理を頼める先は大きく4つあります。どこに頼むかで、任せられる範囲が変わります。

依頼先主に任せられる範囲向く状況注意する点
運用代行会社集計+実務。広告や商品ページと合わせて見ることが多い在庫だけでなく運用全体を整えたい在庫が別料金か、月額に含まれるかを確認する
フリーランス・在宅スタッフ集計中心。実務は手順書があれば可能作業量が少なく、手順が固まっている休みや離脱時の代わりがいない
物流・倉庫会社入荷・検品・ラベル貼り・FBA納品自社で荷物を受けたくない発注数の判断はしない。数字は自社で渡す
在庫管理の仕組み(表・ツール)集計の自動化商品数が多く、計算が手に負えない設定と見直しは人がやる

物流・倉庫会社は「在庫管理の外注」と呼ばれることがありますが、実際に任せられるのは物の動きです。何個発注するかは決めてくれません。ここを取り違えると、倉庫に頼んだのに欠品が減らない、という結果になります。

運用代行会社に頼む場合は、在庫が広告と同じ担当者の視野に入るのが利点です。広告で売れ行きが伸びると在庫日数が縮む。この連動を1人が見ていれば、広告を強めた月に欠品する事故を防げます。範囲の確認方法はAmazon運用代行の内容に載せています。

外注費用の型と、仮の条件での年額比較

在庫管理の外注費は、次の3つの型のどれかで出てくることが多いです。

  • 月額固定:作業範囲を決めて定額
  • 商品数(SKU数)連動:管理する商品数×単価
  • 時間単価:作業した時間×単価

比べ方は運用代行の費用と同じで、月額ではなく自社の条件を当てはめた年額で並べます。計算の形を示すため、次の仮の条件を置きます。実際の水準を示すものではありません。

  • 月額固定型:月40,000円と仮定
  • SKU数連動型:1SKUあたり月2,000円と仮定
  • 時間単価型:1時間2,500円、1SKUあたり月40分の作業と仮定

この仮定で、管理する商品数が10・30・60のときの年間の支払額です。

商品数(仮定)月額固定(年額)SKU連動(年額)時間単価(年額)
10SKU480,000円240,000円200,000円
30SKU480,000円720,000円600,000円
60SKU480,000円1,440,000円1,200,000円

計算はどれも単純です。SKU連動の10SKUなら、2,000円×10×12か月で240,000円。時間単価の10SKUなら、40分×10=約6.7時間、2,500円を掛けて月約16,700円、年約200,000円です。

商品数が少ないうちは連動型や時間単価が軽く、多くなるほど月額固定が軽くなります。ただし月額固定は範囲の上限が決まっていることが多く、60SKUで同じ金額が続くとは限りません。見積もりでは「何SKUまで、どの作業までがこの金額か」を文章で確認してください。

見積もりを並べるときは、金額の横に次の4点を書き出しておくと、同じ物差しで比べられます。

  • 集計の頻度。週1回か、毎日か。頻度が上がるほど欠品の早期発見につながるが、金額も上がる
  • 実務の範囲。納品プランの作成まで含むか、仕入れ先への発注連絡まで含むか
  • 最低契約期間と、途中解約の申し出期限
  • 初期費用の有無。発注ルールの設計や既存データの整理を別料金にしている先もある

金額が同じでも、週1回の集計だけの先と、毎日の確認と納品プランまで含む先とでは中身がまるで違います。範囲を揃えてから金額を比べてください。

外注費は「浮いた時間」と「減った損失」で回収する

費用対効果を見るときは、外注費と次の2つを並べます。

  1. 自社で使っていた時間の価値。仮に週4時間、時給換算3,000円とすると、年に約62万円分です
  2. 在庫の失敗で出ていた損失。欠品で失った売上の粗利と、過剰在庫の保管料や処分の損です

仮に、欠品で月に20個の販売機会を失い、1個あたりの粗利が700円だったとすると、年に168,000円の粗利が消えています。外注で集計の頻度が上がり欠品が減れば、その分は外注費の回収に回ります。保管料は在庫保管料を削減する手順の考え方で同じように金額に置き換えてください。

保管料や手数料の金額は、カテゴリー・サイズ・時期で変わります。試算に使うときは、セラーセントラルの最新の案内と自社の請求明細の実数で確認してください。

契約前に決めておく5つのこと

外注で揉める原因の大半は、作業の線引きと連絡の決まりが文書になっていないことです。契約の前に、次の5つを決めて書面に残します。

決めること決めておく中身決めないと起きること
発注ルール発注点・上限在庫・最小発注数・発注の曜日外注先が判断を避け、確認待ちで止まる
承認の線いくら以上の発注は自社の承認が要るか想定外の大量発注で資金が寝る
報告の形週次で何を、どの表で受け取るか数字が来ても判断に使えない
例外の扱いセール前・欠品時・仕入れ先の遅延時の連絡先と期限例外が起きたときに誰も動かない
権限の範囲セラーセントラルで触ってよい画面と操作意図しない価格や設定の変更が起きる

承認の線は金額で決めるのが分かりやすいです。たとえば「1回の発注が仕入れ額30万円を超える場合は事前に承認」と決めれば、通常の補充は外注先が回し、大きな判断だけが自社に上がってきます。

権限については、セラーセントラルの主アカウントの情報を共有せず、作業に必要な権限だけを付けたユーザーを追加して渡します。外注をやめるときも、そのユーザーを止めるだけで済みます。

報告は「判断が要るもの」を上に並べてもらう

週次の報告は、全商品の在庫一覧を受け取っても読み切れません。依頼するときに、並べ方を指定しておきます。

  1. 発注が必要な商品と、推奨する発注数
  2. 在庫日数が上限を超えている商品と、考えられる対処
  3. 入荷予定が遅れている商品
  4. それ以外の商品(変化なし)

上の3つにだけ目を通せば、週の判断が10分で終わる形にしておくと、外注の効果が出ます。発注数の計算を自分でも確かめたいときは、発注数の計算ツールで同じ数字を出して見比べてください。

引き継ぎの手順と、最初の3か月の進め方

外注を始めるときは、いきなり全商品を渡さず、段階を踏みます。

  1. 主力の3〜5商品だけで始める。発注ルールを渡し、1か月は外注先の推奨と自社の判断を並べて答え合わせをする
  2. ずれた理由を書き出し、発注ルールを直す。セールや季節の扱いは、ここでずれが出やすい
  3. 2か月目に残りの商品へ広げる。承認の線を超える発注だけ自社で見る
  4. 3か月目に、欠品の回数・在庫日数・保管料の推移を外注前と比べる

最初の1か月の答え合わせを省くと、外注先がどんな考え方で数字を出しているか分からないまま任せることになります。ここで2〜3週間かけるほうが、結果として早く手が離れます。

よくある失敗

在庫管理の外注でよく見る失敗は次の3つです。

  • 発注ルールを渡さずに始め、外注先が過去の販売数だけで発注した。広告を止めた月に過剰在庫になった
  • 報告の形を決めず、全商品の表が毎週届くだけになった。読まなくなり、欠品に気づくのが遅れた
  • 倉庫に入荷と納品を頼んだことで在庫管理を外注したつもりになり、発注数の判断が誰の担当でもなくなった

どれも外注先の腕の問題ではなく、最初の線引きの問題です。自社で発注の仕組みを整えてから外に出すか、整えるところから相談できる先を選ぶかを決めてください。自社で回すか外に出すかの考え方は内製と外注の判断基準にもまとめています。

よくある質問

商品数が5つほどでも外注する意味はありますか。 作業量だけを見れば、自社で回せることが多い規模です。ただ、発注ルールを作る段階だけを単発で相談し、日々の確認は自社で回すという使い方はあります。商品数が増えたときに、そのルールをそのまま外注先に渡せるので、後の引き継ぎが早くなります。

外注先に発注数まで決めてもらうのは危険ですか。 発注点と上限在庫を数字で渡し、その範囲内で決めてもらうのであれば問題は起きにくいです。危ないのは、基準を渡さずに「いい感じに」と任せることです。その場合、外注先は欠品の責任を避けるために多めに発注する傾向があり、保管料と資金の寝かせが増えます。

FBAと自社発送が混ざっていても任せられますか。 任せられますが、どの商品をどちらで出すかの方針は自社で決めて渡します。FBAの在庫と自社倉庫の在庫を別々に数えると、合計では足りているのに片方で欠品する、ということが起きます。報告の表で両方を1行に並べてもらうよう指定してください。

途中でやめるときに困らないようにするには。 発注ルール・報告の表・仕入れ先の連絡先を、自社が持つ場所に置いてもらうことです。外注先の手元にしかない状態だと、やめた翌週から何も分からなくなります。権限も追加ユーザーで渡しておけば、止めるのは1操作で済みます。

まとめ

  • Amazonの在庫管理は外注できる。ただし集計・実務・判断の3つに分け、判断は自社に残す
  • 判断を残すとは、発注点と上限在庫を数字で決めて渡すこと
  • 倉庫は物の動きを、運用代行は集計と実務を、フリーランスは集計を主に担う
  • 費用は月額ではなく、自社の商品数を当てはめた年額で比べる。仮の条件では商品数が少ないうちは連動型、多いと固定型が軽い
  • 外注費は、浮いた時間と減った欠品・過剰在庫の損失で回収できるかで判断する
  • 契約前に発注ルール・承認の線・報告の形・例外の扱い・権限の範囲を書面にする
  • 主力3〜5商品から始め、1か月は答え合わせをしてから広げる

まずは主力商品の発注点と上限在庫を決めるところから始めてください。自社のどこに手間と損失が出ているか分からない場合は、無料の運用診断で在庫・広告・商品ページのどこが弱いかを整理できます。外注の範囲や費用を具体的に相談したい場合はお問い合わせからどうぞ。