新商品を出品した。商品ページも画像もそろえた。次に迷うのが広告です。いくら予算を入れればいいのか、入札はいくらで置けばいいのか、どのくらいで結果を判断していいのか。ここで手が止まり、出品から何週間も広告を出さないまま過ぎてしまうことがあります。

Amazonの新商品の広告は、最初の2週間で「勝つ」ことよりも「どの検索語で売れるかのデータを集める」ことが目的です。レビューも販売実績もない状態では、広告の数字は悪く出て当たり前です。この期間に数字だけを見て止めると、何も分からないまま終わります。

この記事では、出品直後の2週間で組むキャンペーンの形、日予算と入札の置き方、毎日見る数字と判断の基準を順に書きます。数字はすべて仮の条件です。出品から90日間の全体の流れは新商品の最初の90日にまとめているので、あわせて読んでください。

Amazonの新商品の広告は、データを集める期間と割り切る

新商品の広告がうまくいかない理由の多くは、最初から既存商品と同じ基準で判断することにあります。

既存商品にはレビューと販売実績があり、検索順位もある程度ついています。新商品にはどれもありません。同じ入札・同じ検索語で広告を出しても、クリックされたあと買われる率(転換率)が低く出るのは自然なことです。

そこで最初の2週間は、次の3つを集める期間と決めます。

  1. どの検索語で表示され、クリックされるか
  2. どの検索語で実際に売れたか
  3. 1クリックあたりの単価の相場感

この3つがそろえば、3週目からは売れた検索語に予算を寄せる運用に切り替えられます。逆に、ここを集めずに止めると、次に広告を出すときも同じところから始めることになります。

出品直後に組むキャンペーンの形

最初は複雑に組む必要はありません。スポンサープロダクト広告で、次の3本を作れば足ります。

キャンペーン中身役割日予算の配分(仮)
自動Amazonに表示先を任せる想定していなかった検索語や商品ページを見つける40%
手動・キーワード自社で選んだ検索語10〜20個、部分一致とフレーズ一致本命の検索語で表示させる40%
手動・商品ターゲット競合の商品ページ5〜10件比較されたときに選ばれるかを見る20%

自動と手動の使い分けの考え方はオートとマニュアルの使い分けに詳しく書いています。最初の2週間は、自動で拾った検索語を手動に移していく流れの入口です。

手動・キーワードに入れる検索語は、商品名に入れた語、検索ボリュームの大きい語、商品の特徴を表す語を中心に選びます。完全一致はまだ使いません。どの言い回しで売れるか分からない段階で絞ると、データが集まらないからです。選び方は広告キーワードの選び方を参照してください。

スポンサーブランド広告は後回しでよい

スポンサーブランド広告やスポンサーディスプレイ広告は、商品が複数あって比較させたいときや、一度見た人を呼び戻したいときに効きます。新商品1点の立ち上げ直後は、まずスポンサープロダクト広告でデータを集め、売れる検索語が見えてから広げる順番で十分です。

日予算と入札は、売価と粗利から逆算して仮置きする

予算と入札は、感覚で決めずに売価と粗利から逆算します。計算の形を示すため、次の仮の条件を置きます。

  • 販売価格:3,000円
  • 広告費をかける前の1個あたりの粗利:1,100円
  • 新商品の転換率:5%と仮定(20クリックに1個売れる)

入札の上限を出す

1個売るのに使ってよい広告費を、まず粗利の中で決めます。立ち上げ期は利益を薄くしてでもデータを取る時期なので、仮に粗利の全額1,100円までは広告費に使ってよいとします。

入札の上限 = 1個に使ってよい広告費 × 転換率
          = 1,100円 × 5% = 55円

1クリック55円までなら、20クリックで1個売れたときに広告費が1,100円に収まり、粗利がちょうどゼロになります。最初はこの上限の7〜8割、40円前後で入札を置き、表示が少なければ上げていきます。入札の決め方の全体像は入札単価の決め方にまとめています。

日予算を出す

日予算は「1日に何クリック集めたいか」から出します。仮に1日30クリックを集めたいとすると、40円×30クリックで1日1,200円です。2週間で約16,800円になります。

項目仮の値計算
入札40円上限55円の約7割
1日のクリック目標30クリック2週間で420クリック
日予算1,200円40円×30
2週間の広告費16,800円1,200円×14日
想定販売数(転換率5%)21個420×5%

この試算で2週間に約21個売れれば、どの検索語で売れたかを判断する材料がそろいます。予算全体の考え方は広告予算の目安にもまとめています。

粗利は販売手数料やFBA手数料を引いたあとの金額で出します。手数料率やFBA料金はカテゴリー・サイズ・時期で変わるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。粗利の計算は利益シミュレーターでも出せます。

2週間のあいだ、毎日見る数字と調整の間隔

広告を出したら、毎日数字は見ますが、毎日いじることはしません。調整は3日ごとにまとめて行います。1日ごとの数字は、クリック数が少ないうちはぶれが大きく、判断の材料にならないからです。

時期見る数字やること
1〜3日目表示回数・クリック数表示がほぼ出ていなければ入札を1〜2割上げる
4〜7日目クリック率・クリック単価クリック率が極端に低い検索語は、画像や価格の見直し候補にする
8〜10日目検索語ごとの注文数自動で売れた検索語を手動・キーワードに追加する
11〜14日目検索語ごとの広告費と注文数売れずに広告費だけが出ている検索語を除外の候補にする

除外の基準も、仮の条件で数字にしておきます。転換率5%なら20クリックで1個売れる計算なので、同じ検索語で40クリック以上、注文0件なら除外を検討してよい水準です。20クリック程度で外すと、たまたま売れなかっただけの検索語まで消してしまいます。除外の手順は除外キーワードの決め方を参照してください。

クリックはあるのに売れないときは、広告より商品ページを見る

2週間でクリックが十分あるのに注文がほとんどない場合、問題は広告の設定より商品ページにあることが多いです。メイン画像・価格・レビュー件数・商品名の最初の部分のどこかで、比較されて負けています。

広告の入札を上げても、商品ページで負けていればクリック代が増えるだけです。この場合は広告をいったん最小限に絞り、商品ページの改善を先に進めてから再開します。

2週間後に判断すること

2週間たったら、集めたデータで次の3つを決めます。

  1. 売れた検索語を完全一致で別のキャンペーンに切り出し、入札を強める
  2. 40クリック以上で売れていない検索語を除外する
  3. 自動キャンペーンの予算を少し下げ、手動の予算を厚くする

ここから先は、データを集める期間から、売れる検索語に寄せて採算を整える期間に移ります。ACOSの目標を決めるのはこの段階からで十分です。目標の置き方はACOS目標の決め方と下げ方にまとめています。

よくある失敗

新商品の広告で多いのは次の3つです。

  • 3日でACOSが100%を超えたので止めた。データが集まる前に止めたため、どの検索語で売れるか分からないまま終わった
  • 予算を絞りすぎて、1日数クリックしか集まらなかった。2週間たっても判断できる量にならなかった
  • 毎日入札を上げ下げした。どの変更が効いたのか分からなくなった

どれも「最初の2週間はデータを集める期間」という前提がずれていることが原因です。

よくある質問

最初の2週間はACOSがいくらでも続けてよいのですか。 上限は先に決めておきます。この記事の試算では、粗利の全額を広告費に使ってよいという前提で入札を出しました。そのため、ACOSが高くても1個あたりの広告費が粗利の範囲に収まっていれば続けます。粗利を超えて赤字になる状態が続くなら、入札を下げるか、商品ページの見直しを先にします。

レビューが0件のうちに広告を出しても無駄ですか。 無駄ではありませんが、転換率は低めに出ます。レビューがない間は、価格や画像で比較に勝てるかどうかが売れ行きを左右します。広告でクリックを集めつつ、規約の範囲でレビューを集める動きを並行して進めてください。レビューの集め方は別の記事にまとめています。

日予算を使い切らない日があります。入札を上げるべきですか。 表示回数そのものが少ない場合は、入札が低くて広告枠に入れていない可能性があります。1〜2割ずつ上げて、表示回数の変化を見てください。表示は十分あるのにクリックされない場合は、入札ではなく画像や価格の問題です。

セール時期に新商品を出すときも同じ進め方でよいですか。 大型セールの時期はクリック単価が上がりやすく、同じ予算で集まるクリック数が減ります。可能であればセールの2〜3週間前に出品し、セール前にデータを集め終えておくほうが進めやすいです。

まとめ

  • Amazonの新商品の広告は、最初の2週間を「どの検索語で売れるか」のデータを集める期間と割り切る
  • キャンペーンはスポンサープロダクト広告の自動1本・手動キーワード1本・商品ターゲット1本で足りる
  • 入札の上限は「1個に使ってよい広告費×転換率」で出し、その7〜8割から始める
  • 日予算は「1日に集めたいクリック数×入札」で出す
  • 調整は3日ごと。除外は40クリック以上で注文0件を目安にする
  • クリックはあるのに売れないときは、広告より商品ページを直す
  • 2週間後に、売れた検索語の切り出し・除外・予算の配分替えを行う

まずは自社の商品の粗利と転換率の仮置きから、入札の上限を出してみてください。広告の設計をまとめて任せたい場合はAmazon広告の運用代行の内容を、どこから手を付けるか迷う場合は無料の運用診断をご利用ください。