Amazon運用代行の見積もりを並べると、月額の次に目に入るのが契約期間です。最低3か月の会社、6か月の会社、12か月契約なら月額を下げると言う会社。どれが妥当なのか、判断の物差しがないまま「短いほうが安心」で選ぶと、期間が短い代わりに初期費用が高かったり、自動更新の通知期限を過ぎて半年延びたりします。

Amazon運用代行の契約期間は、長いか短いかだけでは判断できません。見るべきは「成果を判断できるまでに何か月かかるか」と「合わなかったと分かった時点で、あといくら払う約束になっているか」の2つです。この2つが分かれば、3か月でも12か月でも、自社にとって妥当かどうかを数字で決められます。

この記事では、最低契約期間がある理由と依頼範囲ごとの目安、期間ごとの支払総額の試算、途中解約の条件で見る項目を順に書きます。契約書全体で確認する項目は運用代行の契約書で確認する10項目に、解約の手続きと引き継ぎは運用代行の解約と引き継ぎにまとめています。この記事は「期間」に絞ります。

Amazon運用代行の契約期間の決め方は3つの型に分かれる

契約期間の決め方は、大きく3つの型に分かれます。

型中身向く状況注意する点
最低契約期間あり3か月・6か月・12か月など、最初の一定期間は解約できない初期設計から入り、改善の結果を見るまで任せたい合わないと分かっても期間中は止められない
期間の定めなし(月ごと更新)1か月ごとに更新し、予告すればいつでも解約できる範囲が狭い、または既に社内で回っていて一部だけ頼む初期費用や月額が高めに設定されていることがある
期間を区切った単発の依頼アカウントの立て直しや立ち上げなど、決まった作業を期間内に終えるやることが決まっていて、日々の運用は自社で回す期間後の運用を誰が担うかを先に決めておく

最低契約期間のある型が多いのは、運用代行の仕事が「最初の数か月に作業が集中し、成果は後から出る」形だからです。期間の定めがない型は、その初期の作業の費用を初期費用や月額に上乗せして回収していることが多く、総額で見ると安くなるとは限りません。単発の依頼は範囲がはっきりしている分、終わった後の運用の担い手が空白になりやすい型です。

型の違いは、代行会社が初期の作業の費用をどこで回収しているかの違いです。 期間が短い見積もりを見たら、初期費用と月額のどちらにその分が乗っているかを確認してください。

最低契約期間がある理由と、妥当な長さの目安

運用代行で最低契約期間が置かれるのは、作業を始めてから成果を判断できるまでに時間がかかるからです。何に時間がかかるかは、依頼する範囲によって違います。

  • 広告の運用:入札や除外キーワードを変えてから、数字が落ち着くまでに2〜4週間かかる。キャンペーンの構造から組み直す場合は、さらに1〜2か月見る
  • 商品ページの改善:画像や商品名を変えてから、転換率の変化を判断できるだけのセッションがたまるまで1〜2か月。検索順位への反映はさらに遅れる
  • 在庫と発注の設計:発注から入荷、売り切るまでの1回転を見ないと、発注量が合っていたか判断できない。商品によっては2〜3か月かかる

この時間を足すと、依頼範囲ごとの期間の目安が出ます。以下は考え方の目安で、商品数や現状の状態で変わります。

依頼する範囲成果を判断できるまでの目安最低契約期間の目安
広告の運用だけ(既存のキャンペーンの改善)2〜3か月3か月
広告+商品ページの改善3〜4か月3〜6か月
新商品の立ち上げから運用まで4〜6か月6か月
アカウント全体(広告・ページ・在庫・価格)4〜6か月6か月。12か月は中間の見直し日がある場合

この表から言えるのは、最低契約期間は「成果を判断できるまでの期間」と同じか、少し長い程度が妥当だということです。広告だけを頼むのに12か月の最低期間を求められたら、成果を判断できる時期のあとに半年以上、止められない期間が残ります。逆に、立ち上げから任せるのに最低1か月という契約は、代行側が初期の設計に時間をかけにくい条件だと読めます。

成果が出るまでの時間の考え方は運用代行で成果が出るまでの期間に詳しく書いています。

契約期間ごとの支払総額を試算する

期間の長さを比べるときは、月額ではなく「契約した時点で確定する支払」と「合わなかった場合に残る支払」で並べます。計算の形を示すため、次の仮の条件を置きます。実際の水準を示すものではありません。

  • 月額:150,000円と仮定
  • 初期費用:100,000円と仮定
  • 12か月契約の場合は、月額を10%下げて135,000円とする提案があったと仮定
  • 合うか合わないかは、始めてから3か月で判断できるとする
最低契約期間契約時点で確定する支払3か月で合わないと分かった場合に残る支払12か月続けた場合の総額
3か月550,000円0円1,900,000円
6か月1,000,000円450,000円1,900,000円
12か月(月額10%減)1,720,000円1,215,000円1,720,000円

内訳です。3か月契約は初期費用10万円と月額15万円×3か月で55万円。6か月契約は10万円+15万円×6か月で100万円、3か月で止めたくても残り3か月分の45万円は払う約束になっています。12か月契約は10万円+13.5万円×12か月で172万円、3か月で合わないと分かっても残り9か月分の121.5万円が残ります。

12か月契約の割引は、うまくいった場合に18万円得をする代わりに、合わなかった場合に121.5万円を払い続ける約束です。 割引の大きさだけでなく、合わなかったときに残る支払の大きさと並べてください。初めて組む代行会社に、この賭けをする理由があるかどうかが判断の分かれ目です。

もう1つの見方は、2社目以降の判断です。すでに半年以上一緒に仕事をして、やり方と報告の質が分かっている代行会社なら、合わない可能性は小さくなっています。その段階で12か月に切り替えて割引を受けるのは、理にかなった選び方です。長い契約は、相手を知った後に結ぶほうが得になりやすいと覚えておくと判断しやすくなります。

初期費用の中身と妥当性は運用代行の初期費用に、月額の型ごとの比べ方は運用代行の費用と選び方にまとめています。

試算を自社の数字に置き換える

自社の見積もりで計算するときは、次の順に数字を入れます。

  1. 初期費用、月額、最低契約期間を見積書から写す
  2. 自社の依頼範囲で、成果を判断できるまで何か月かかるかを前の章の表から置く
  3. 「判断できる月」以降に最低契約期間が何か月残るかを数える
  4. 残る月数×月額を「合わなかった場合に残る支払」とする
  5. 複数社をこの金額で並べ、割引や特典の額と比べる

4番目の金額が、自社にとって「授業料として払ってよい額」を超えるなら、その契約期間は長すぎます。

途中解約の条件で見る5項目

最低契約期間と同じくらい支払総額に効くのが、途中解約の条件です。期間が短くても、解約の条件が厳しければ実質的な拘束は長くなります。見積もりの段階で、次の5項目を確認します。

項目確認すること揉めやすい例
予告期間解約を申し出てから何か月後に終わるか「3か月契約・3か月前予告」で、実質は始めた時点で次の更新が決まっている
違約金最低契約期間中に解約した場合の計算方法残り期間の月額の全額を一括で請求される
自動更新期間満了時に自動で更新されるか、更新しない場合の通知期限通知期限を1日過ぎて、同じ期間がもう一度更新される
成果物とデータ解約後に、広告の設定・除外キーワード・作った画像や文章が自社に残るか作った資料の持ち出しに別料金がかかる
権限の返却セラーセントラルの権限をいつ外すか解約後も権限が残ったままになる

特に注意したいのが、予告期間と最低契約期間の組み合わせです。最低3か月で予告期間が1か月なら、3か月で終えるには2か月目の終わりに申し出る必要があります。「3か月で判断する」つもりでいても、判断の締め切りは実際には2か月目に来ます。試算の「判断できる月」は、予告期間の分だけ前に倒して考えてください。

自動更新の条項も、期間の長さと同じだけ重要です。最低6か月・自動更新・満了の1か月前までに通知という契約なら、5か月目の終わりまでに判断しないと、さらに6か月延びることがあります。更新の通知期限は、契約した日に社内の予定表へ入れておきます。

成果物とデータの扱い、権限の返却は、期間の話に見えませんが、解約後に次の会社や社内へ引き継ぐ手間と費用を左右します。引き継ぎで困らないための具体的な取り決めは運用代行の乗り換えで説明しています。

中間の見直し日を契約に入れる

最低契約期間を短くしてもらう交渉は、通らないことが少なくありません。代行側にも初期の作業を回収する事情があるからです。その場合に有効なのが、期間はそのままにして、途中に見直しの日を入れてもらう交渉です。

たとえば最低6か月の契約に、次のような一文を足してもらいます。

  • 3か月目の定例報告で、事前に合意した作業項目の実施状況を確認する
  • 合意した作業項目が実施されていない場合、委託者は翌月末をもって解約できる
  • その場合、違約金は発生しない

ここで大事なのは、見直しの基準を売上の金額ではなく、合意した作業が実施されたかどうかに置くことです。売上は季節や在庫、競合の動きでも変わるので、代行側が基準にすることを嫌がります。一方、「検索用語レポートを週1回確認し、除外キーワードを更新する」「3か月以内に主力商品の画像を見直す提案を出す」といった作業の実施は、双方が確認でき、合意しやすい基準です。

作業項目は、見積もりの段階で一覧にしてもらいます。一覧がなければ、何をしてもらえるかが曖昧なまま契約していることになり、見直し日を入れても判断できません。報告の形は運用代行の報告書の見方が参考になります。

契約期間で失敗する例

契約期間にまつわる失敗は、だいたい次の4つに集まります。

自動更新の通知期限を過ぎる。 一番多い失敗です。満了の直前に解約を伝えたら、通知期限が1か月前で、すでに次の期間が始まっていた。契約書を受け取った日に、通知期限の日付を予定表に入れるだけで防げます。

12か月契約の割引に飛びつく。 初めての会社で、月額の割引を理由に長い契約を結び、3か月で合わないと分かって残りを払い続ける。試算の章で見たとおり、割引額と残る支払の額は桁が違うことがあります。

期間なしの契約で、初期費用の高さを見落とす。 いつでも解約できる代わりに、初期費用が月額の数か月分に設定されている。3か月で解約すると、最低契約期間ありの契約より総額が高くなることがあります。

季節商品の繁忙期の前に契約が切れる。 繁忙期に向けて準備を任せていたのに、契約期間が繁忙期の直前で満了し、更新の交渉が間に合わない。季節性のある商品は、契約期間を繁忙期の後まで含めて組みます。季節の在庫の考え方は季節商品の在庫計画にまとめています。

4つとも、契約前に「いつ判断するか」「その日までに何を見るか」を決めておけば避けられる失敗です。代行の失敗例は運用代行の失敗例にもまとめています。

当社は2019年からAmazonの支援をしていて、これまでに30ブランド・300商品ほどを見てきました。契約期間の相談では、依頼範囲を先に決め、成果を判断できる時期と見直しの日をそろえてから期間を提案しています。依頼範囲と料金の考え方はAmazon運用代行の内容と料金プランに公開しているので、比較の材料のひとつにしてください。

よくある質問

最低契約期間がない会社のほうが安心ですか。 解約しやすいという意味では安心ですが、総額で安いとは限りません。最低契約期間がない分、初期費用や月額に初期の作業の費用が上乗せされていることがあります。3か月・6か月で止めた場合の総額を、最低契約期間がある会社と同じ表で並べてから判断してください。

最低契約期間の途中で、依頼範囲を減らすことはできますか。 契約書に範囲の変更についての定めがあればその手順に従います。定めがない場合は、代行会社との合意が必要です。範囲を減らすと月額も下がるのが普通ですが、最低契約期間の拘束は残ることが多いので、範囲変更の条件も契約前に確認しておきます。

代行会社の担当者が途中で変わりました。期間中でも解約できますか。 担当者の交代だけを理由に解約できる定めは、通常の契約にはあまり入っていません。担当者の交代時の引き継ぎ方法や、交代後の報告の質が落ちた場合の扱いを、契約時に一文入れておくと安心です。すでに契約している場合は、まず中間の見直しとして、作業項目の実施状況を確認する場を設けてもらってください。

契約期間が終わった後、社内で運用を引き継げるか不安です。 期間の終わりが近づいてから引き継ぎを考えると間に合いません。契約の最後の1〜2か月を引き継ぎの期間として、設定の一覧・判断の基準・月次の手順を文書でもらうことを、最初の契約に入れておきます。社内で回す体制の作り方は運用の内製化で説明しています。

まとめ

  • 契約期間の型は「最低契約期間あり」「期間の定めなし」「単発の依頼」の3つ。どこで初期の作業の費用を回収しているかが違う
  • 最低契約期間は、依頼範囲ごとの成果を判断できるまでの期間と同じか少し長い程度が妥当
  • 期間ごとに「契約時点で確定する支払」と「合わなかった場合に残る支払」を出して並べる
  • 仮の条件では、12か月契約の割引18万円に対して、合わなかった場合の残りは121.5万円。長い契約は相手を知った後に結ぶ
  • 途中解約は予告期間・違約金・自動更新・成果物とデータ・権限の返却の5項目で確認する
  • 判断の締め切りは予告期間の分だけ前に来る。通知期限は契約した日に予定表へ入れる
  • 期間の短縮が難しければ、作業の実施状況で判断する中間の見直し日を入れてもらう

自社の依頼範囲が決まっていないと、妥当な契約期間も決まりません。どこを外に出すべきかを先に整理したい場合は無料の運用診断を、見積もりの条件を比べたい場合はお問い合わせからご相談ください。