セラーセントラルで価格を見ていると、「競争力のある価格」という表示に出会います。自社の価格の横に、それより安い金額が並んでいる。カートが取れていない商品に限って、この表示が出ている。下げたほうがいいのか、下げたら利益はどうなるのか、と迷う場面です。

Amazon 競争力のある価格は、Amazonが「この商品はこのくらいの価格で手に入る」と見ている参考の価格です。自社の価格がそれより高いと、カート(おすすめ出品)の対象から外れたり、表示のされ方が変わったりすることがあります。ただ、表示どおりに下げれば解決するとは限りません。利益が残らない価格まで下げてしまえば、売れても手元に何も残らないからです。

この記事では、競争力のある価格の意味、カートと表示への影響の確かめ方、下げる前に見る利益と他の販路の判断を順に書きます。カートが取れない原因は価格以外にもあるので、全体の切り分けはカートが取れない原因の調べ方もあわせて読んでください。

Amazon 競争力のある価格とは

競争力のある価格は、自社が設定した価格とは別に、Amazonが比較の基準として持っている価格です。セラーセントラルの価格に関する画面や在庫管理の画面に表示されます。名称や表示の場所は画面の更新で変わることがあるので、見当たらない場合は価格に関する画面のヘルプで確かめてください。

基準になる価格には、主に次のようなものがあります。

基準の種類何を見ているか自社で確かめる場所
Amazon上の他の出品同じ商品を出品している他の出品者の価格出品者一覧(他の出品)
Amazon上の過去の価格その商品が最近Amazonで売られていた価格自社の価格の履歴、セール時の価格
Amazon外の価格他の通販サイトなどで売られている価格自社サイトや他の販路で出している価格

自社だけが出品している商品でも、この表示が出ることがあります。他の販路で自社がもっと安く売っている、以前のセールの価格が基準として残っている、といったケースです。「競合がいないのになぜ」と思ったら、自社の他の販路と価格の履歴を見てください。

価格がカートと表示に与える影響

自社の価格が競争力のある価格より高いと、次のような影響が出ることがあります。

  1. カートの対象から外れる。 商品ページに「カートに入れる」のボタンが出ず、「すべての出品を見る」のような表示になる
  2. 検索結果での見え方が変わる。 価格が表示されない、または目立たない形で表示される
  3. 広告の表示が減る。 カートを取れていない商品は、広告が表示されにくくなる

3つ目は見落としやすい点です。広告の表示回数が急に減ったとき、入札や予算ばかり見ても原因は見つかりません。カートの状態を先に見ると、価格が原因だったと分かることがあります。広告が表示されないときの切り分けは広告が表示されない原因の調べ方にまとめています。

影響が出ているかを確かめる手順

  1. 在庫管理で、カートの取得状況を見る。 カートを取れていない商品を一覧にする
  2. 価格に関する画面で、競争力のある価格との差を見る。 どの商品が、いくら高いかを控える
  3. 商品ページを実際に開く。 スマートフォンのアプリで、カートのボタンと価格の表示を確かめる
  4. 出品者一覧を見る。 他の出品者の価格と、送料を含めた総額を比べる
  5. 自社の他の販路の価格を見る。 同じ商品を自社サイトや他の通販サイトでいくらで出しているかを並べる

ここまでで、価格が原因なのか、別の理由なのかがかなり見えます。差が小さく、カートも取れているなら、急いで価格を動かす必要はありません。

下げる前に、利益を確かめる

カートを取り戻すために価格を下げるとき、最初に見るのは「その価格で利益が残るか」です。販売手数料はカテゴリーで、配送料はサイズと重さで変わります。手数料率や配送料は時期によって改定されることもあるので、セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で確認してください。

計算の形を示すため、仮の条件で見てみます。

  • 現在の価格:3,980円
  • 競争力のある価格:3,580円
  • 原価(仕入れと国内までの送料):1,200円
  • 販売手数料率:仮に10%とする
  • 配送料:仮に450円とする
項目現在の価格競争力のある価格まで下げた場合
販売価格3,980円3,580円
販売手数料(仮に10%)398円358円
配送料(仮)450円450円
原価1,200円1,200円
広告費を引く前の利益1,932円1,572円
利益率約48.5%約43.9%

この仮の条件では、400円下げると1個あたりの利益は360円減ります。下げた分の多くがそのまま利益から消える形です。ここから広告費を引くので、広告費の比率が高い商品ほど、下げたあとの手元はさらに薄くなります。

判断の目安は、下げたあとの利益で、広告費と在庫の保管費を払っても残るかどうかです。自社の数字で計算するときは利益シミュレーターを使ってください。利益率の考え方は利益率の目安と見方にまとめています。

下げたことで増える販売数も見積もる

利益が減っても、カートを取り戻して販売数が増えれば、月の利益の合計は増えることがあります。仮に、現在の価格ではカートが取れず月20個、下げてカートを取り戻すと月50個売れるとすると、月の利益は1,932円×20個=38,640円から、1,572円×50個=78,600円になります。販売数の見込みは自社の過去の推移から置いてください。カートを取れていた時期の販売数が、いちばん当てになる手がかりです。

値下げ・維持・他の販路の調整、どれを選ぶか

価格を下げるだけが選択肢ではありません。状況ごとに選ぶ手が変わります。

状況選ぶ手理由
下げても利益が十分残る競争力のある価格に合わせて下げるカートを取り戻すほうが、月の利益は増えやすい
自社の他の販路の価格が基準になっている他の販路の価格を見直すAmazonの価格を下げなくても差が縮まる
過去のセールの価格が基準として残っている時間をおいて様子を見るセールの価格を基準にした差は、時間とともに縮むことがある
下げると利益が残らない価格は維持し、商品ページや広告を見直す赤字で売るより、他の手で販売数を作る
他の出品者が極端に安い相手の出品の状態を確かめる状態や配送の条件が違う出品と同じ価格にする必要はない

他の販路との価格の差に気をつける

自社サイトや他の通販サイトで、Amazonより安い価格を出していると、それが基準になることがあります。ポイントやクーポンを含めた実際の支払額で比べられる場合もあるので、他の販路でセールをするときは、Amazonの価格との差を事前に確かめておきます。販路ごとの価格の考え方は楽天とAmazonの違いでも触れています。

価格の自動設定を使うときの注意

価格の自動設定を使えば、競争力のある価格に合わせて自動で価格を動かせます。ただし、下限の価格を決めずに使うと、利益が残らない価格まで下がることがあります。設定するときは、上の試算で出した「これ以上下げると利益が残らない価格」を下限に置いてください。設定の手順は価格の自動設定の使い方に書いています。

よくある失敗

  • 表示を見てすぐに下げ、利益が残らない価格になる。 下げる前に1個あたりの利益を計算していない
  • 他の販路のセールを忘れ、Amazonでカートを失う。 自社サイトのセールの価格が基準になっていた
  • 極端に安い他の出品に合わせて下げる。 相手は状態や配送の条件が違う出品だった
  • カートを失ったまま広告費を払い続ける。 広告の表示が減った原因が価格だと気づかない

4つとも、価格を動かす前に「どの価格が基準になっているか」と「下げたあとの利益」を確かめれば防げます。価格を決める全体の考え方はAmazonでの価格の決め方にまとめています。

よくある質問

競争力のある価格より少しでも高いと、カートは取れませんか。 差の大きさや他の条件によって変わります。少し高いだけでカートが取れている商品もあります。まず在庫管理でカートの取得状況を確かめ、取れていない商品から優先して見てください。取れているなら、急いで価格を動かす必要はありません。

自社しか出品していない商品でも表示が出るのはなぜですか。 他の販路で自社がもっと安く出している、以前のセールの価格が基準として残っている、といった理由が考えられます。自社サイトや他の通販サイトの価格と、Amazonでの価格の履歴を並べて見てください。

競争力のある価格に合わせたら、利益が残りません。どうすればいいですか。 赤字になる価格まで下げる必要はありません。価格は維持したうえで、他の販路の価格を見直す、商品ページの購入率を上げる、広告の配分を見直す、といった手を考えます。原価そのものを見直す余地があるかも確かめてください。

まとめ

  • 競争力のある価格は、Amazonが比較の基準として持っている参考の価格
  • 基準には、他の出品・Amazonでの過去の価格・Amazon外の価格がある
  • 自社の価格が高いと、カートの対象から外れたり、広告の表示が減ったりすることがある
  • 在庫管理でカートの状況、価格の画面で差、出品者一覧と他の販路の価格を順に確かめる
  • 下げる前に1個あたりの利益を計算し、販売数の見込みと合わせて月の利益で判断する
  • 値下げ・維持・他の販路の調整・様子を見る、から状況に合う手を選ぶ
  • 価格の自動設定を使うなら、利益が残る下限の価格を先に決める

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