タイムセールに出してみたいが、どこから申し込むのか分からない。申し込み画面は見つけたが、値引き率と数量を何で決めればよいか分からない。初めて参加する出品者の相談は、たいていこの2つです。
申し込みの操作自体は、画面に沿って進めれば迷うところは少なめです。難しいのは、申し込む前に「何個売れれば値引きと参加費を取り戻せるか」を決めておくことと、終わった後に何を見て次も出すかを決めることです。ここを飛ばすと、売れたのに手元に残らないセールになります。
この記事では、Amazon タイムセール 申し込みの手順を画面の流れに沿って書き、その前後でやる計算と記録の仕方をまとめます。セールそのものに出るべきかの判断はセールに参加すべきかの判断基準に書いたので、ここでは「出ると決めた後」の実務に絞ります。
Amazonタイムセールの申し込み前に確認すること
申し込みの画面を開く前に、3つを確認しておきます。ここで止まる商品は、画面を開いても申し込みのボタンが出ません。
| 確認すること | 見る場所 | 止まりやすい理由 |
|---|---|---|
| 対象の商品として表示されているか | セラーセントラルのタイムセールの画面(推奨される商品の一覧) | 星評価・レビュー数・出品者の評価・販売実績などの条件を満たしていない |
| 在庫が足りるか | 在庫管理の画面(FBAの在庫数) | 申し込む数量に対して在庫が少ない、または納品待ちのまま |
| 値引き後の価格が条件に合うか | 申し込み画面に出る上限価格 | 直近の販売価格より十分に下がっていない |
対象の条件は、カテゴリーや時期によって変わり、公開されている基準と画面の判定が一致しないこともあります。申し込めるかどうかは、画面の推奨一覧に出ているかで判断するのが早い方法です。一覧に出ていない商品は、レビューや販売実績が積み上がるまで待つことになります。
もう1つ見落としやすいのが、直近の価格です。セールの前にいったん価格を上げてから値引きするような動きは、上限価格の判定で不利になりますし、お客様からの信頼も落とします。価格の変更は、セールの予定が決まる前から落ち着かせておいてください。価格を動かすときの手順は価格改定の手順にまとめています。
申し込みの手順
画面の流れは次のとおりです。名称や配置は変わることがあるので、手元のセラーセントラルの表示に合わせて読み替えてください。
- セラーセントラルのメニューから「広告」→「タイムセール」を開く
- 「新しいタイムセールを作成」を選び、推奨される商品の一覧から対象の商品を選ぶ
- 表示されたタイムセールの種類(数量限定のもの、期間の長いものなど)と、開催の週を選ぶ
- バリエーションがある商品は、参加させる子商品にチェックを入れる
- 値引き後の価格と、セールに割り当てる数量を入力する
- 参加費と条件を確認して申し込む
- 審査の結果をタイムセールの画面で確認する
種類と開催の週を選ぶ段階で、参加費の額が画面に出ます。 参加費は種類や時期で変わり、大型セールの期間は通常期より高くなる傾向があります。金額はこの記事では書きません。画面の表示を控えておき、次の章の計算に使ってください。
バリエーションのある商品は、子商品ごとに在庫が違うことに注意します。売れ筋の色だけ在庫が薄い状態で全部の子商品を参加させると、その色だけ早く売り切れ、残りの色はセール価格のまま売れ残ります。在庫の少ない子商品は外すか、数量を小さくしておきます。
審査に通らなかった場合は、理由が画面に出ることがあります。価格の条件で落ちたなら、値引きをもう一段深くするかを次の章の計算で判断します。条件を満たしていない場合は、再申請しても結果は変わりません。
値引き率と数量は必要な販売数から決める
値引き率は「どれくらい下げれば目立つか」ではなく、「その値引きで何個売れれば元が取れるか」から決めます。計算の形を示すため、仮の条件を置きます。実際の水準を示すものではありません。
- 通常の販売価格:3,000円
- 販売手数料:売価の10%と仮定(カテゴリーで変わる)
- FBA配送料:1個400円と仮定(サイズと時期で変わる)
- 原価:1個1,100円
- 参加費:10,000円と仮定
- セールをしなかった場合、同じ期間に通常価格で5個売れていたとする
通常価格の粗利は、3,000円−300円−400円−1,100円で1個1,200円です。同じ期間に5個売れていたなら、セールをしなくても6,000円の粗利がありました。セールではこの6,000円と参加費10,000円の合計16,000円を、値引き後の粗利で取り戻す必要があります。
| 値引き率(仮定) | セール価格 | 1個の粗利 | 必要な販売数 |
|---|---|---|---|
| 10% | 2,700円 | 930円 | 18個 |
| 20% | 2,400円 | 660円 | 25個 |
| 30% | 2,100円 | 390円 | 42個 |
20%の行の内訳です。2,400円から手数料240円、配送料400円、原価1,100円を引いて660円。16,000円÷660円は約24.2なので、25個売れてはじめて、セールに出なかった場合と同じ粗利になります。
値引きを10%から30%に深くすると、必要な販売数は2倍以上に増えます。 1個の粗利は値引き率以上の速さで薄くなるからです。セールの数量はこの必要数より多めに置き、在庫はさらにその先、セール後の通常販売の分まで確保しておきます。
手数料率・FBA配送料は、カテゴリー・サイズ・時期で変わります。セラーセントラルの最新の案内と自社の実数で計算し直してください。自社の数字を入れるなら利益シミュレーターで値引き後の粗利がすぐに出ます。セール後の追加発注の目安は発注計算ツールで確認できます。
数量を決めるときの失敗例
よくある失敗は2つです。ひとつは、在庫のほぼ全部をセールに割り当ててしまうことです。セールで売れた勢いのまま、セール後に在庫切れを起こし、検索の順位まで落とします。もうひとつは、数量を小さくしすぎて開始からすぐに売り切れ、残りの時間は「売り切れ」の表示のまま、広告だけが回り続けることです。
数量の目安は、上の必要販売数を下限、在庫の半分程度を上限とする幅で考えます。在庫切れの影響は在庫切れへの対応に詳しく書いています。
開催前日までにやること
申し込みが通ったら、開催までに次の3つを済ませます。
商品ページの点検。 セール中はふだんより多くの人がページを見ます。メイン画像、商品名、箇条書きの1行目が、初めて見た人に何の商品かを伝えられているかを見直します。点検の項目は商品ページの点検リストにあります。
広告の予算。 セール中はクリックが増え、予算が昼前に尽きることがあります。セールの日だけ1日の予算を上げておくか、上限に達したら通知が来るようにしておきます。
クーポンとの重なり。 同じ商品にクーポンを出していると、タイムセールの値引きと重なって想定より深い値引きになることがあります。開催期間と重なるクーポンは止めるか、重なった場合の粗利を計算しておきます。クーポンの設定はクーポンの使い方で説明しています。
参加後に見る数字
セールが終わったら、次の数字を記録します。売れた個数だけを見ると、次も出すべきかの判断を誤ります。
| 数字 | 見る場所 | 何を判断するか |
|---|---|---|
| 販売数と販売率(売れた数÷割り当てた数) | タイムセールの画面 | 数量と値引き率が合っていたか |
| セッションと転換率 | ビジネスレポート | 見られたのに買われなかったなら、ページか価格に原因がある |
| セール中の広告費とACOS | 広告の管理画面 | 広告費まで含めて元が取れたか |
| セール後2週間の日販 | ビジネスレポート | 通常価格に戻った後、売れ行きがセール前より上がったか |
| 主要な検索語での順位 | 検索結果の確認 | セールの販売実績が自然検索に効いたか |
一番大事なのは4行目のセール後2週間の日販です。セール前の2週間と比べて日販が上がっていれば、セールは認知を広げる役割を果たしています。セール前と同じか下がっているなら、値引きで先の需要を前倒ししただけで、全体としては粗利を削ったことになります。
セール中の粗利は、前の章の計算に広告費を足して確かめます。仮に25個売れても、その間の広告費が5,000円増えていれば、粗利の取り戻しには25個では足りません。広告費÷660円で約7.6個、合わせて33個前後が必要だった計算になります。
レポートの見方はビジネスレポートの見方にまとめています。
記録しておくと次に効くもの
次回の申し込みに使えるよう、1回ごとに次を1行で残します。
- 開催の日付と種類、参加費
- 値引き率、割り当てた数量、売れた数
- 必要販売数を超えたかどうか
- セール後2週間の日販がセール前と比べて上がったか
3回分たまると、自社の商品でどの値引き率なら必要数を超えるかが見えてきます。ここまでくると、申し込みの判断は数分で終わります。
よくある質問
タイムセールの画面に、申し込める商品が1つも出ません。 推奨される商品の一覧に出るかどうかは、星評価やレビュー数、販売実績、出品者としての評価などから判定されます。新しい商品では出ないことが多く、レビューと販売実績が積み上がると表示されるようになります。それまでは、クーポンや広告で販売実績を作るほうが近道です。
数量が売り切れなかった場合、残りはどうなりますか。 セール期間が終われば、価格は元の設定に戻ります。売れ残った数量に対して追加の費用はかかりませんが、参加費はかかります。売れ残りが多かったなら、値引き率が浅すぎたか、商品ページで買われなかったかのどちらかなので、セッションと転換率を見て原因を分けてください。
大型セールの期間と通常期、どちらに申し込むのがよいですか。 大型セールの期間は見る人が多い一方、参加費が高く、同じカテゴリーの値引き商品も多く並びます。初めての参加なら、通常期に小さく出して必要販売数を超えられるかを確かめてから、大型セールに出す順番が安全です。大型セールの準備はプライムデーの準備にまとめています。
まとめ
- 申し込めるかどうかは、セラーセントラルの推奨される商品の一覧に出ているかで判断する
- 手順は「広告」→「タイムセール」→商品選択→種類と週→価格と数量→申し込み→審査結果の確認
- 値引き率は、参加費とセールをしなかった場合の粗利を取り戻すのに何個必要かから決める
- 仮の条件では、値引きを10%から30%にすると必要な販売数は2倍以上になる
- 数量は必要販売数を下限、在庫の半分程度を上限に置き、セール後の在庫も残す
- 終わった後は販売率・転換率・広告費込みの粗利・セール後2週間の日販を記録する
まずは自社の売価・原価・手数料で、値引き率ごとの必要販売数を出してください。計算は利益シミュレーターでできます。セール前後の在庫や広告の組み立てに迷う場合は、無料の運用診断でどこから手を付けるかを整理できます。
